夏見円(JR北海道スキー部)のクロスカントリー史上初の快挙は、テレビ、新聞で大きく報じられた。1928年、スイスのサンモリッツで開催された第2回冬季オリンピックに日本選手が初出場して以来、実に80年目の悲願が達成された。世界との厚い壁の前に、多くのチャレンジャーが去っていった。そして80年というとてつもなく長い時間が流れていた。2008年2月27日、スウェーデンのストックホルムで開催されたFISワールドカップ、女子スプリント種目。身長170cm、59kg、外国選手の中に入っても見劣りしたい長身の夏見選手が3番目でフィニッシュした。この瞬間、クロスカントリーの歴史が変わった。
岡本英男ヘッドコーチから報告が入ってきたので紹介しよう。
2月27日、Stockholmでのスプリントレースの報告をいたします。
今回のレースで、私達の念願であった表彰台に、夏見円が3位という成績で上ってくれました。今期の最大の目標(表彰台に上ること)として取り組んできたことが形となり、手放しで喜びをあらわにしました。
非常に暖かい天候が数週間続いており、前日に予定されていたコースオープンも、あいにくの雨も影響し、中止となりました。一部、大会開催も危ぶまれる声も聞こえていたのも事実です。当日も雨が降ったり止んだりと、会場に運び込んだ雪も非常に少ない状況で、思いのほか悪コンディションの下でのレースとなしました。
13:00からおこなわれました女子予選では、夏見が7位で危なげなく通過しました。福田も、積極的なレースをして、22位でクウォーターファイナルへと駒を進めました。13:30からおこなわれました男子予選では、恩田祐一(アインズスキークラブ)が会心の走りをし、危なげなく14位で予選を通過しました。本田は、しばらくスプリント競技から離れていたこと、連戦・移動等の疲れが抜け切れていないこともあり、残念ながら58位で予選敗退をしました(最終リザルトは、57位)。
続くクウォーターファイナルでは、2組目の夏見が、危なげのないレースをし、組で2位となり、セミファイナルへ進出しました。福田修子(岐阜日野自動車スキー部)は、4組目でのスタートとなりましたが、強豪がひしめく中でのヒートとなり、5位でフィニッシュし、最終順位を23位としました。ここのところ、スプリント競技でポイントをすることができていませんでしたので、今回のレースは今後への良いステップになるであろうと考えます。
恩田は、目の覚めるようなスタートダッシュから好位置をキープし、トップで最終コーナーをターンしました。誰もがセミファイナルへの進出を間違いないものと思った時、アクシデントが起きました。バランスを崩し、転倒をしてしまいました。場内アナウンスも、非常に惜しいレースであったことを伝えました。本人もショックは隠せない模様でしたが、きっとこの悔しさを乗り越えることによって、更に強い恩田になってくれることと信じています。リザルトは、27位となりました。
女子セミファイナル1組目で、夏見はKuitunen(FIN)に続き、会心の2位でAファイナルへ進みました。2組目のフィニッシュタイムが早かったので、同組から4人の選手がAファイナルへと駒を進め、決勝の6人がそろいました。どの選手も、ヒートを重ねるにつれ、疲労の色が隠せない状況を目の当たりにしました。一方夏見は、尻上がりに良いレースを見せ、彼女への可能性を感じさせました。
ファイナルでは、スタートから好位置をキープしました。一時は5位へと順位を落としましたが、冷静さは失っていませんでした。最終ターンまでは我慢して前の選手を追い、勝負どころの直線の上りに入ったところでエンジン全開となりました。
ワールドカップ表彰台常連、あるいは昨年度の世界選手権の優勝者も振り切り、見事3位でフィニッシュに飛び込んでくれました。会心のレースでした。本人の努力が実を結びました。また、ワックス等の選択も全てが合致し快挙へとつながりました。表彰台で彼女は、この日誰よりも輝いていました。
ワールドカップのレースも、この先まだ続きます。同じトレーニングを進めてきた仲間の頑張りを励みに、チーム全体で個々の目標達成に向かい取り組みたいと考えます。
今回の快挙を皆さんで喜んでいただき、今後も日本チームを暖かく見守っていただきたく存じます。ご声援ありがとうございました。そして、更なる皆さまの暖かいご声援を何卒よろしくお願いいたします。
夏見円選手のコメント 「この表彰台がクロスカントリーチームにとっても新しい第一歩となり、今後もチーム一丸となって世界と戦っていけるよう頑張りたいと思います。今後も応援よろしくお願いします!」
Ladies 1.0km Classical Sprint(2/27) Stockholm(SWE) Qualification| Rank | Name | Nat | Time | Behind |
|---|---|---|---|---|
| 1 | KUITUNEN Virpi | FIN | 2:32.32 | 0.00 |
| 2 | MAJDIC Petra | SLO | 2:33.65 | +1.33 |
| 3 | SACHENBACHER STEHLE Evi | GER | 2:35.06 | +2.74 |
| 7 | 夏見 円 | JPN | 2:36.21 | +3.89 |
| Rank | Name | Nat |
|---|---|---|
| 1 | KUITUNEN Virpi | FIN |
| 2 | MAJDIC Petra | SLO |
| 3 | 夏見 円 | JPN |
クロスカントリー史上初の表彰台に立った夏見選手
必死に前の選手を追う夏見選手。ひ弱さはなくなり、世界のトップスプリンターの姿だ