アルペンU16強化プロジェクトとは

 かつて冬季オリンピックで初めて日本にメダルをもたらしたのはアルペンスキー競技でした。
 1956年コルティナ・ダンペッツォ五輪で猪谷千春氏が銀メダルを獲得。以来、60年以上もの長い間、アルペンスキーではメダルを獲得できていません。

 アルペンスキーは世界でも日本でも、スキー競技のなかでもっとも競技人口の多い種目。そのぶん選手層も厚く、世界の頂点に立つことはけっして簡単なことではありません。その厚い壁を破るためには何が必要か。もちろん、現在日本のトップレベルで活躍する選手たちの強化・環境整備も必要ですが、やはりもっとも重要なことは中・長期的な選手強化です。

 日本のユース世代の選手たちは、海外の選手たちと違い、なかなかヨーロッパ特有のハードかつパックされた雪質で滑る機会を得ることができません。また、海外では当たり前になっている10歳前からの本格的なフィジカルトレーニング、コンディショニング教育も遅れています。そうした海外のスタンダードから取り残されている現状を変えるためにも、長い視点で子供の頃から正しい強化を積み重ねていこうとする、それが「U16強化プロジェクト」です。


アルペン U16強化プロジェクトへの支援のお願い

 このプロジェクトがスタートしたのは、2018/2019シーズン。過去5年にわたって、JCOM株式会社様 及び 一般社団法人ジャスト・ラビング・スキー様 ご協力のもと、クラウドファンディングによるU16強化プロジェクトへの支援を募らせていただき、そのご支援を活用して強化の道筋を示すことができました。

 アルペンチームはシーズンごとに体制の変化はありますが、U16強化プロジェクトに対する取り組みは変わらず継続してまいります。海外・国内におけるU16強化事業を引き続き展開し、状況が叶えば、ユース世代で最も大きな世界大会である、アルプチンブラFISチルドレンレースへの選手派遣も行ってまいります。

 2034年以降に検討されている札幌での冬季オリンピック開催。母国開催で活躍する選手を育成するには、今U16世代にいる選手たちの強化とジュニア・シニアへの継続した強化環境が非常に重要です。

 ぜひ日本アルペン・U16強化プロジェクトへのご支援をお願いいたします。


U16強化プロジェクト 年代別目標設定

U16強化プロジェクトは年代別にマイルストーンとなる目標を設定。ジュニア世代(U19)の大きな目標となるFISジュニア世界選手権におけるターゲットから逆算して、ユース世代(U16)における目標をこのように定めている。この目標はシーズンごとに変わることなく、強化の道筋の柱として一貫したものとなる。


U16強化プロジェクト U16における目標設定

U16強化の目標は年を追うごとにステップアップさせていく。土台作りとなる現在のフェーズ1から2026年コルティナ・ダンペッツォ五輪を目途にしたフェーズ2では、海外でのレース転戦や世界レベルでの成果をさらに追い求めていくことになる。

今シーズンはフェーズ1から2への移行期間となる。来季以降より世界を見据えた活動にシフトできるよう、引き続き国内環境の整備と経験値の向上に努めていく。


U16強化プロジェクト 取り組むべき活動① フィジカル・コンディショニング面

2022/2023シーズンの成果

強化拠点(NTC)と強化センターの活用
夏季は強化拠点を活用しながら体力測定を兼ねた合宿を行い、選手たちを定点観測しながらスポーツ科学を活用した効率的な強化をめざす
→ 2回のフィジカル合宿とセレクション合宿を実施。
昨年作成したトレーニングマニュアルをもとにした教育とフィジカルレベルの把握と向上を目指した。
トレーニングガイドラインを作成、普及
年代別の目標値設定及び達成に向けたガイドラインを全国に向けて発信
→ 支援金の一部を活用してガイドラインを作成。
全国の指導者への普及も進んできており、各地でフィジカルテストが実施されるようになった。
指導者向けセミナー
各地域の指導者にガイドラインの活用法、コンディショニング教育を指導
→ 各地で行われたフィジカルテストのフィードバックとナショナルチームの取り組みを伝えることができた。


U16強化プロジェクト 取り組むべき活動② 雪上トレーニング面

2022/2023シーズンの成果

菅平(長野県)の競技別強化拠点(NTC)とJOC強化センター(阿寒)の活用
シーズンを通してNTCを活用できる仕組み作り、常時放水してコース作りができる体制整備
→ 12月は阿寒、3月は菅平にて合宿を実施。インジェクションの入った硬いバーンを活用してトレーニングを行った
コース作りのノウハウ、メソッドの共有
コース作りができる人材を増やし、より良いトレーニング・レース環境の整備
→ 強化拠点であるスキー場内においてノウハウの共有が進んだ。今後は各地にそのノウハウを伝えることが課題である。
大会運営と強化の連携
大会に合わせて合宿を実施し、FIS年代につながる強化を進めていく
→ 3年ぶりにアルプチンブラへの派遣が叶い、選手は良い経験を積むことができた。
特に女子の堺麻里杏は失敗があったものの2本目で上位のタイムを叩き出し、世界でも戦うことができると証明してくれた。

U16強化プロジェクト 新チーム体制

  • 全日本スキー連盟アルペンチーム 新ヘッドコーチ 安食 真治 今季よりヘッドコーチを務める安食コーチはユース選手も含むジュニアチームのコーチも兼任する。
    「チーム力」と「個々の1%の成長」を大切に強化活動を行なっていく。
    長期的な強化戦略プランやアスリートパスウェイの構築も進め、一貫した育成強化システムの運用を目指す。

  • 全日本スキー連盟アルペンチーム 男子チーフコーチ 河野 恭介 「U16強化プロジェクト」を立ち上げた河野恭介コーチが男子チームのチーフコーチとして引き続き強化に携わる。
    オーストリアで得た知識や人脈を活かし、さまざまなアイディアを持って活動している。
  • 全日本スキー連盟アルペンチーム 女子チーフコーチ 工藤 昌巳 安藤麻選手のコーチである工藤昌巳コーチがチーフコーチとして女子チームを束ねる。オーストリアでの研修も経験しており、安食HC、河野コーチと共に世界トップレベルのチーム運営を知るコーチである。

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アルペンU16強化プロジェクト これまでの歩み アルペンU16強化プロジェクトから巣立った選手たち