2008/12/24

連載23 記録に見る日本のスキー競技史
1923年、日本のスキー競技ははじまった

1972年(昭和47年)
第50回全日本スキー選手権大会

会場 :アルペン 長野県白馬村・八方尾根スキー場
会場 :ノルディック 青森県大鰐町・大鰐ジャンプ台/宮様記念会場

札幌オリンピックを翌年に控え、各競技運営関係者、チーム関係者は本番を想定して取り組んだ。今大会から「少年組」が姿を消し、現在行われている「全日本スキー選手権」の形態になった。

 

■アルペン

滑降 回転 大回転
■男子
富井 澄博(日大)

2:05.29

千葉 晴久(専大)
57.70/1:03.82 2:01.52
富井 澄博(日大)
2:21.53
大杖 正彦(デサント)
2:09.35
鈴木 謙二(芝工大)
59.27/1:04.69 2:03.96
市村 政美(日本楽器)
2:23.38
鈴木 謙二(芝工大)
2:09.89
水上 孝(カザマスキー)
57.98/1:05.99 2:03.97
鈴木 謙二芝工大)
2:23.46

 

■女子
南雲美津代(西沢スキー)
2:11.71
沖津はる江(大東文化大)
44.35/52.93 1:37.28
沖津はる江(大東文化大)
2:06.26
沖津はる江(大東文化大)
2:13.39
南雲美津代(西沢スキー)
45.43/52.33 1:37.76
南雲美津代(西沢スキー)
2:08.47
片桐 美雪(小賀坂スキー)
2:13.88
岡崎恵美子(アジアスキー)
46.15/52.42 1:38.57
深井 則子(アジアスキー)
2:14.48

オールラウンダー、鈴木謙二(芝工大)は、優勝こそできなかったが、3種目で表彰台に立った。オールラウンダーの時代から、スペシャリストの時代へ、時代の変わり目を迎えていた時期だけに価値ある内容。女子は沖津、南雲両選手が圧倒的な強さで2強を形成、まさに「沖津・南雲時代」を迎えていた。

 

■ノルディックコンバインド

選手名 所属 飛躍点 距離点 得点
花田 英一 大東文化大 179.3 207.25 386.55
須藤 正敏 国土計画 163.6 205.30 368.90
新田 誠一 明大 193.1 156.40 349.50

学連、花田と社会人の須藤との一騎打ちとなったが、ジャンプ、クロスカントリーとも須藤の追撃を許さなかった花田が初優勝を飾った。
 裁定委員会
 競技委員長・菊池正八 コース係長・山田九八 参加代表・佐藤和雄 技術顧問・盛合 力 SAJ技術代表・村本貞雄
 以上が今で言うTDのメンバー。

 

■クロスカントリー

リレー 15km 30km 50km
■男子
日大
2:46.11
高橋 勇
(日大) 51:41
松岡 昭義
(日軽金) 1:44.24
松岡 昭義
(日軽金)  3:00.19
日軽金
2:47.52
松岡 昭義
(日軽金) 52.28
後藤 一義
(カザマスキー)1:47.10
高橋 久男
(日大)   3:00.21
北方スキー
2:49.06
工藤 誠二
(国鉄北海道) 52.36
谷藤 秀夫
(日軽金) 1:47.46
長崎 一男
(カザマスキー) 3:05.25

 

■女子 (5km) (10km)
三馬ゴム
1:15.53
高橋 弘子
(北野建設) 19.21
高橋 弘子
(北野建設) 40.25
カザマスキー
1:17.32
大関 時子
(三馬ゴム) 19.39
菊池 篤子
(弘前実業高)42.57
スワロースキー
1:18.08
高橋 昭子
(大石田高)19.59
大関 時子
(三馬ゴム) 43.17

日軽金の松岡昭義は三冠を逃したものの、30km、50kmの2種目を制し、15kmも2位という活躍。30kmでは3分近い差をつけての圧勝だった。15kmの6位に早坂毅代司、28位に山家祥幸の名前がある。

 

■ジャンプ

90m 70m
板垣 宏志(国土計画)
94.0m/97.0m 212.4
板垣 宏志(国土計画)
82.0m/73.0m 220.0
田口 世一(リンレイ)
62.5m/82.5m 159.2
沢田 久喜(雪印乳業)
77.0m/76.0m 212.3
角田 幸司(雪印乳業)
75.0m/84.0m 149.1
田口 世一(リンレイ)
83.0m/72.0m 211.0

主力の五輪組が欠場した大会で、五輪出場の板垣が70m、90mの2種目を制した。とくに90mでは、2位、3位の選手と飛距離を比較してもらえばわかるが、1~2本とも10m以上の大差をつける内容が目をひく。

 

札幌オリンピック
期間:2月3日~13日
参 加 国 35か国
参 加 数 1006人
日本選手 男子70人/女子20人
旗手 益子峰行(ジャンプ)

 

選手 種目/順位/記録
■ジャンプ
70m 90m
笠谷 幸生 1位 84m/79m 244.2 7位 106m/85m 209.4
金野 昭次 2位 82.5m/79m 234.8 12位 98m/88.5m 199.1
青地 清二 3位 83.5m/79m 229.5
藤沢 隆 23位 81m/68m 207.8 14位 95.5m/86m 197.1
板垣 宏志 19位 90m/84m 183.1

 

■ノルディックコンバインド

勝呂 裕司 5位 390.200
中野 秀樹 13位 375.955
荒谷 一夫 15位 374.040
佐々木信孝 24位 359.945

 

■クロスカントリー

選手 15km 30km 50km リレー/10位
谷藤 秀夫 37位 49:06.97 37位 1:45:37.13 2:13:59.14
柴田 国男 41位 49:38.95 23位 1:42:30.85 2:13:59.14
松岡 昭義 43位 49:50.72 2:13:59.14
松村 元治 51位 50:43.76 棄権
工藤 誠二 44位 1:47:00.40 29位 2:57:42.62
岡村 富雄 47位 1:47:50.22 2:13:59.14
女子 5km 10km リレー
高橋 弘子 34位 18:32.75 25位 36:53.84 9位 53:20.75
大関 時子 37位 19:00.82 33位 38:07.24 9位 53:20.75
今井 春美 38位 19:05.73 37位 39:33.13
赤坂 明子 43位 19:49.74
斉藤 秀子 38位 39:51.61 9位 53:20.75

 

■アルペン

男子 滑降 回転 大回転
富井 澄博 22位 1:55.34
大杖 正彦 35位 1:59.55 棄権
市村 政美 17位 1:14.83 15位 3:15.34
柏木 正義 18位 1:16.61 棄権
千葉 晴久 棄権 19位 3:17.23
古川 年正 棄権
女子
南雲美津代 32位 1:43.07 棄権 棄権
片桐 美雪 35位 1:44.10 棄権 30位 1:39.11
沖津はる江 40位 1:45.37 16位 1:40.67 22位 1:35.33
岡崎恵美子
41位 1:48.85 13位 1:39.53
32位
32位 1:40.37

ジャンプ陣がとうとうやってくれた。冬季オリンピックの初メダル獲得は、1956年、イタリアのコルティナダンペッツォで行われた大会で、アルペンの猪谷千春が回転2位となって銀メダルを獲得した。しかし、札幌までの16年、1個のメダルも獲得していない。
それが、第11回冬季オリンピックで、日本選手の冬季オリンピック史上、そして日本のスキー界にとって歴史的な出来事が起こった。
 70m級ジャンプは大会4日目の2月6日、宮の森ジャンプ競技場で行われ、3万人の大観衆が見つめるなか、1本目84メートルを完璧なフォームで飛んだ笠谷は、2本目、91メートルの助走路を時速85キロのスピードで飛び出し、後半よく伸ばして最長不倒となる79メートルをマーク、史上初の金メダルを獲得した。
 金野も銀メダル、そして青地も銅メダルを獲得、はじめて札幌の空に日の丸を3本揚げた。その瞬間、スキー関係者の誰もが抱き合い、声を上げて泣いた。
 笠谷は現在、SAJの競技本部長として選手育成に尽力しているが、銅メダルを獲得した青地は、残念ながら今年8月14日、66歳の若さで天空へ飛翔した。

 

スキー年鑑第40号の表紙はもちろんメダル独占の表彰台。しかし、スキー年鑑では札幌オリンピック特集といった大きな扱いはない

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