2009/09/10

連載58 記録に見る日本のスキー競技史
1923年、日本のスキー競技ははじまった

2007年(平成19年)
第85回全日本スキー選手権大会

 

アルペン :長野県野沢温泉村 野沢温泉スキー場(技術系)
:岩手県雫石町 雫石スキー場(スピード系)
ノルディック :長野県白馬村 白馬ジャンプ競技場/スノーハーブ
:新潟県十日町市 吉田クロスカントリー競技場
:北海道音威子府村 チセネシリクロスカントリーコース
フリースタイル :富山県立山山麓 立山山麓スキー場(モーグル)
:北海道美深町 美深町スキー場(エアリアル)
スノーボード :岐阜県鷲ヶ岳 高鷲スノーパーク

 

■アルペン

種目 1位 2位 3位
男子

スーパーG

荒井 拓磨

(中大)  1:32.16

渡邉 拓也

(日大)  1:32.79

長沼 敬晴

(東洋大) 1:33.24

女子

スーパーG

後藤 悠子

(白馬中) 1:38.82

鳥谷部貴絵

(盛岡第三高)1:39.27

大久保有美

(青森山田高)1:40.42

男子

大回転

悪天候のため中止
女子

大回転

加藤 智佳(道教育大)

58.51/55.19 1:53.70

湯本 浩美(天山リゾート)

58.64/55.10 1:53.74

花岡 萌(日大)

59.67/55.42 1:55.09

男子

回転

佐々木 明(ティーシーエス)

52.43/53.67 1:46.10

生田 康宏(東京美装)

53.27/54.20 1:47.47

湯淺 直樹(スポーツアルペン)

54.52/54.29 1:48.81

女子

回転

花岡 萌(日大)

51.95/56.53 1:48.48

関塚 真美(チームJWSC)

53.37/57.22 1:50.59

安田かずみ(専大)

53.93/57.32 1:51.25

久々にワールドカップ組が出場、佐々木明は1本目、2本目とも圧倒的なラップタイムをマークして貫禄を示した。佐々木はこのシーズンのワールドカップ(アルタバディア)で、2本トータルでラップに1秒を切る0.71秒の7位と活躍していた。

 

当時のジャパンチームAランク選手
男子 佐々木明・皆川賢太郎・湯淺直樹

 

■ノルディックコンバインド

順位 選手名 所属 飛躍点 距離タイム
北村 隆 チームアルビレックス新潟 117.5(1) 18:11.5(3)
畠山 陽輔 秋田ゼロックス 99.5(3) 17:54.9(1)
薄井 智行 草津スキークラブ 114.0(2) 19:37.4(37)

ジャンプの北村隆、クロスカントリーの畠山陽輔の優勝争いとなったが、ジャンプで大差をつけた北村が畠山の追い上げをしので優勝を果たした。

 

当時のジャパンチームAランク選手
高橋大斗・小林範仁

 

■クロスカントリー

種目 1位 2位 3位
男子

パシュート

金丸 富男

(DOWA SC)51:49.0

永井 順二

(陸自冬戦教)51:50.6

駒村 俊介

(ワセダクラブ) 51:53.5

男子

スプリント

柏原 暢仁

(飯山南高)

山室 忠

(飯山市スキークラブ)

斉藤 亮

(飯山市スキークラブ)

男子

チームスプリント

アインズスキークラブ

恩田・山岸 21:53.3

飯山市スキークラブ

斉藤・山室 22:05.8

陸自冬戦教C

阿部・青木 22:17.3

男子

15km F

金丸 富男

(DOWA SC)39:57.2

青木 正和

(陸自冬戦教)40:33.4

山本 直人

(陸自冬戦教)41:10.1

男子

50km C

青木 正和

(陸自冬戦教)2:43:54.2

金丸 富男

(DOWA SC)2:44:02.6

大森 亘

(花輪SC)2:49:00.8

男子

リレー

陸自冬戦教A

1:46:52.8

新井高校

1:49:54.2

高田自衛隊

1:50:01.5

女子

パシュート

横山寿美子

(セコム上信越)27:43.3

石田 正子

(JR北海道)27:56.7

大林 千沙

(弘果SRC) 28:28.3

女子

スプリント

横山寿美子

(セコム上信越)

石田 正子

(JR北海道)

大森菜保子

(専大)

女子

チームスプリント

JR北海道

石田・夏見 24:50.2

日本大学A

関谷・丸山 26:16.0

専修大学A

下平・大森 26:36.4

女子

10km F

矢口小百合

(北村山高)14:45.7

野尻あずさ

(富士吉田連盟)14:39.5

藤ノ木美代子

(小出高)  14:35.5

女子

30km C

大林 千沙

(弘果SRC)1:14:11.9

安部 梨沙

(津南高)1:17:59.2

高橋奈津子

(陸自冬戦教)1:17:40.1

女子

リレー

陸自冬戦教

43:25.6

飯山南高校A

44:25.2

小出高校

44:27.5

スプリントの第一人者、夏見円は出場していない。北村山高校の矢口小百合が10kmフリーを制し、5位、6位に飯山南高校の小田佳奈里、柏原理子が食い込み、ベテランの中で高校生の健闘ぶりが目立つ。

 

当時のジャパンチームAランク選手
男子 恩田祐一

 

■ジャンプ

順位 ラージヒル 順位 ノーマルヒル
梅崎 慶大(雪印スキー部)

127.5m/124.0m 252.7

竹内 択(北野建設SC)

92.5m/91.5m 239.0

栃本 翔平(北海道尚志学園高)

117.0m/133.0m 247.5

栃本 翔平(北海道尚志学園高)

90.5m/93.0m 236.5

坂野 幸夫(雪印スキー部)

123.5m/124.5m 245.4

梅崎 慶大(雪印スキー部)

89.5m/90.5m 228.5

■女子(ノーマルヒル)

金井理恵子(北野建設SC)

85.0m/85.0m 203.5

平山友梨香(北海道尚志学園高)

73.0m/74.0m 152.0

竹田 歩佳(札幌日大高)

75.5m/72.0m 148.0

フィンランドのスキー留学帰りの竹内択が、初タイトルを獲得。高校生ながら世界選手権の代表として団体銅メダルのメンバーとなった栃本翔平がノーマル、ラージとも2位と安定したジャンプが光る。とくにラージヒルの2本目には最長不倒となる133メートルの大ジャンプを披露してギャラリーを湧かせた。

 

当時のジャパンチームAランク選手
岡部孝信・伊東大貴・葛西紀明

 

第27回全日本フリースタイル選手権大会

種目 男子 得点 女子 得点
モーグル 1 益川 雄 (北野建設) 25.13 1 上村 愛子(北野建設) 24.69
2 楠 真豪 (白馬村SC) 24.93 2 伊藤 みき(中京大) 23.03
3 尾崎 快 (早大) 24.80 3 村田愛里咲(道尚志学園) 20.54
デュアルモーグル 中止 中止
エアリアル 1 倉田孝太郎(チームリステル) 136.31 1 逸見 佳代(BIFUKA) 95.78
2 田原 直哉(徳洲会SC) 118.27 2 後藤 直子(浅井学園大) 87.58
3 五艘 陽治(富山FSC) 108.83

デュアルモーグルは悪天候のためキャンセルされたが、モーグルは上村愛子が順当に優勝を飾り、成長株、伊藤みきがこれに続いた。長年、若い選手の台頭が見られなかった女子モーグルに、伊藤とともに北九州から北海道にスキー留学中の高校生、村田愛里咲が全日本選手権、初の表彰台に立った。

 

当時のジャパンチームAランク選手
女子モーグル 上村愛子

 

第13回全日本スノーボード選手権大会

種目 男子 得点 女子 得点
PGS 1 川口 晃平(是吉興業) 1 竹内 智香(小嶋アカデミー)
2 戸崎 啓貴(NUTS) 2 家根谷依里(道東海大)
3 服部 冬樹(小嶋アカデミー) 3 中田 亜矢
HP 1 石原 崇裕(山梨県庁) 38.8 1 青木 美保(See’s) 41.5
2 村上 大輔(クルーズ) 37.2 2 三井 真紀(チームヨネックス) 38.7
3 齋藤 隆太 37.0 3 大倉 慶子(Arc Racing) 34.3
SBX 1 石田 達哉(チームコナサーフ) 1 土井奈津子(クルーズ)
2 飯野 翔揮(チームJWSC) 2 清水 美江
3 林  達彦 3 石橋喜代子(チームヨネックス)

アルペン系はワールドカップ出場組の竹内智香、家根谷依里が圧勝した。ハーフパイプ女子で初優勝した青木美保は、富良野で開催されたワールドカップに出場、7位と自身初の10位以内をマークして好調だった。

 

当時のジャパンチームAランク選手
男子ハーフパイプ 國母和宏
女子ハーフパイプ 山岡聡子

 

2007 FIS世界選手権大会
ノルディック
開催国:日本(JPN)
開催地:札幌市(Sapporo)

 

■ジャンプ

選手名 ノーマルヒル ラージヒル 団体
伊東 大貴 20位/227.5 29位/173.9 3位/905.9
葛西 紀明 34位/107.5 24位/202.2 3位/905.9
伊藤謙司郎 37位/106.0
岡部 孝信 45位/102.0 21位/208.2 3位/905.9
栃本 翔平 16位/219.4 3位/905.9
湯本 史寿 出場機会なし

メダル獲得は、これまでのワールドカップの内容から難しいと思われていたジャンプが、高校生、栃本翔平の起用、ベテラン選手の奮起で予想をくつがえすて銅メダルを獲得した。

 

■ノルディックコンバインド

選手名 個人戦 スプリント 団体
小林 範仁 26位/+4:28.1 25位/+2:52.5 8位/+5:17.7
加藤 大平 27位/+4:28.4 32位/+4:04.2 8位/+5:17.7
渡部 暁斗 35位/+5:41.6 31位/+3:45.4 8位/+5:17.7
湊  祐介 40位/+6:47.2
永井 秀昭 8位/+5:17.7
高橋 大斗 けがのため棄権 けがのため棄権 けがのため棄権

開幕直前のジャンプトレーニングでエース、高橋大斗がビッディングが外れている状態で飛び出し大転倒して骨折、チーム内の衝撃が走った。エースを欠いたチームは残念ながら入賞を果たせなかった。

 

■クロスカントリー

選手名 パシュート チームスプリント 15kmC スプリント リレー 50kmC
恩田 祐一 26位 12位
山岸 修 33位 12位 36位 15位
駒村 俊介 41位 43位 15位 20位
神津 正昭 43位 43位 15位 46位
蛯沢 克仁 46位 15位 24位
大山 勝広 44位
成瀬 野生 56位
女子
選手名 スプリント チームスプリント パシュート 10kmF リレー 30kmC
夏見 円 5位 13位 8位
福田 修子 20位 13位 8位
横山寿美子 23位 8位 20位
石田 正子 26位 8位 13位
曽根田千鶴 38位 48位 24位

クロスカントリー女子の活躍は、衝撃的だった。同競技の先陣を切って行われたスプリントで、夏見円がファイナルに進出(この時点で女子初の6位以内入賞が決まる)、スプリントのスタートとゴールは世界選手権大会初の札幌ドームに雪を引き込んで行われ、スタンドの大歓声の中、夏見が5番目でフィニッシュした。

 

さらに30kmクラシカルに出場した石田正子は、最初の周回でスキーを踏まれて転倒、最後方に下がりながら周回を重ねるうちにグングン前へ押し上げ、驚異的なねばりとスタミナで13位まで押し上げた。

 

好調、夏見、石田を要した女子リレーでも快進撃は続き、オリンピックなら入賞となる8位(女子リレー最高ランク)と大健闘した。

 

アルペン
開催国:スウェーデン(SWE)
開催地:オーレ(Are)

選手名 DH SC SG SL GSL
佐々木 明 不参加 36位 54位 棄権 28位
湯淺 直樹 18位
湯本 浩美 不参加 不参加 不参加 36位 43位
関塚 真美 35位 棄権

皆川賢太郎がけがのため佐々木明、湯淺直樹の2選手で挑んでが、佐々木は途中棄権、湯淺は18位に終わった。スーパーコンビネーションが初めて採用され、スピードにも強い佐々木が出場、得意のスラロームしだいでは上位進出も見えていたが、大きな失敗を冒して36位に終わった。ダウンヒルで健闘しただけに悔しい一戦となった。

 

フリースタイル
開催国:イタリア(ITA)
開催地:マドンナディカンピリオ(Madonna di Campiglio)

選手名 ハーフパイプ スキークロス モーグル Dモーグル エアリアル
中止
瀧澤 宏臣 25位
松原 良輔 31位
小林 幸世 34位
河野 健児 37位
上野 修 19位 10位
西  伸幸 20位 20位
附田 雄剛 22位 25位
尾崎 快 42位 18位
倉田孝太郎 21位
福島のり子 7位
山下 瑞絵 13位
齋藤 茜 15位
上村 愛子 14位 19位
伊藤 みき 17位 14位

男女とも期待されたモーグル陣は、上野修が10位と健闘した以外は惨敗だった。日本選手最高位はスキークロス女子の福島のり子の入賞まであと一歩の7位だった。

 

スノーボード
開催国:スイス(SUI)
開催地:アローザ(Arosa)

選手名 SBX PGS PSL HP BA
高橋 翔 28位 不参加
五十嵐幸太 46位
石田 達哉 48位
長嶋 勇也 54位
野藤 優貴 26位 42位
國母 和宏 2位
石原 崇裕 11位
村上 大輔 14位
青野 令 65位
藤森 由佳 25位
土井奈津子 28位
家根谷依里 12位 11位
竹内 智香 15位 14位
佐藤 江峰 42位 34位
山岡 聡子 2位
中島 志保 4位
岡田 良菜 19位

オリンピック、世界選手権大会を通じて結果を残していないハーフパイプが、男女とも銀メダルを獲得、チーム結成以来、最高の結果を残した。アルペン系で期待された竹内智香は、目標の10位以内は達成されなかった。
 

(本文中の敬称略)