連載43 記録に見る日本のスキー競技史
1923年、日本のスキー競技ははじまった
1992年(平成4年)
第70回全日本スキー選手権大会
アルペン | :北海道白滝村北大雪スキー場(スピード系) |
:長野県白馬村八方尾根スキー場(技術系) | |
ノルディック | :北海道倶知安町 倶知安シャンツェ(ノーマルヒル) |
旭クロスカントリー競技場 | |
:北海道札幌市大倉山ジャンプ競技場(ラージヒル) |
■アルペン
種目 | 1位 | 2位 | 3位 |
---|---|---|---|
男子 滑降 |
吉田 啓律(日体大) 1:40.18 |
富井 剛志(野沢温泉SC) 1:40.74 |
木村 邦裕(ナカヤ) 1:41.19 |
女子 滑降 |
川端 絵美(KDD) 1:38.93 |
山本さち子(ロシニョール) 1:40.33 |
加藤 祐希(筑波大) 1:41.86 |
男子 スーパーG |
富井 剛志(野沢温泉SC) 1:28.58 |
阿部 智幸(NTT北海道) 1:29.70 |
吉田 啓律(日体大) 1:29.98 |
女子 スーパーG |
川端 絵美(KDD) 1:35.06 |
山本さち子(ロシニョール) 1:35.57 |
加藤 祐希(筑波大) 1:36.66 |
男子 大回転 |
押切 敬司(ヤマハ) 56.67/56.41 1:53.08 |
伊東 秀朗(明大) 56.92/56.64 1:53.56 |
石岡 拓也(ヤマハ) 57.10/56.79 1:53.89 |
女子 大回転 |
川端 絵美(KDD) 1:00.36/1:00.17 2:00.53 |
上村 文代(ナカヤ) 1:00.93/1:00.06 2:00.99 |
吉田 幸恵(札商高) 1:01.04/59.96 2:01.00 |
男子 回転 |
石岡 拓也(ヤマハ) 53.13/50.92 1:44.05 |
伊藤 薫(近大) 52.99/51.47 1:44.46 |
伊東 秀朗(明大) 53.28/51.52 1:44.80 |
女子 回転 |
山本さち子(ロシニョール )41.79/46.91 1:28.70 |
岡崎 若華(日体大) 41.86/47.35 1:29.21 |
川端 絵美(KDD) 41.90/47.34 1:29.24 |
■当時のジャパンチームAランク選手
男子 岡部哲也・木村公宣・石岡拓也
女子 川端絵美
けがから復帰した吉田啓律は、滑降でオリンピック帰りの富井剛志を破って全日本初優勝、またスーパーGでも3位とスピードに強いところをみせて復活をアピールした。女子の大回転3位に入った幸恵は、吉田の妹でジャパンチームの選手として女子のトップ選手として活躍した。その幸恵は選手引退後、アメリカへ渡りプロゴルファーを目指した。
■ノルディックコンバインド
順位 | 選手名 | 所属 | 飛躍点 | 距離タイム |
---|---|---|---|---|
1 | 河野 孝典 | 野沢温泉SC | 220.4(1) | 45:26.1(4) |
2 | 山本 直鋭 | 北野建設 | 205.2(5) | 45:43.3(5) |
3 | 西村 真 | 日本大学 | 203.8(6) | 47:10.7(10) |
■当時のジャパンチームAランク選手
三ヶ田礼一・荻原健司・河野孝典・阿部雅司・富井 彦
河野孝典がジャンプで大差をつけて逃げ切り、念願の全日本初優勝を飾った。河野は現在、同チームのヘッドコーチとして今年の世界選手権大会では金メダルの快挙を達成、さらにバンクーバーオリンピックでの金メダル獲得へ向けて意欲的な強化を図っている。
■クロスカントリー
種目 | 1位 | 2位 | 3位 |
---|---|---|---|
男子 15km C |
佐々木一成 (北野建設)45:10.7 |
長浜 一年 (専大) 46:14.8 |
高橋世是夫 (陸自冬戦教)47:06.7 |
男子 30km C |
佐々木一成 (北野建設)1:27:34.2 |
川野部和良 (東京美装)1:28:44.3 |
今井 博幸 (中大) 1:29:05.8 |
男子 50km C |
佐々木一成 (北野建設)2:35:16.6 |
工藤 博幸 (陸自冬戦教)2:41:34.8 |
岡本 英男 (早大) 2:41:51.0 |
男子 15km F |
佐々木一成 (北野建設)40:58.1 |
今井 博幸 (中大) 42:02.0 |
江川 淳 (国土計画) 43:10.6 |
男子 リレー |
陸自冬戦教 1:40:51.0 |
専修大学 1:41:09.6 |
旭川大学高校 1:42:28.0 |
女子 10km C |
青木富美子 (真室川高教) 32:21.2 |
横山寿美子 (新井高) 32:34.8 |
坂口真由美 (リクルート)33:21.0 |
女子 10km F |
青木富美子 (真室川高教) 52:00.5 |
横山寿美子 (新井高) 53:53.8 |
佐藤恵美子 (早大) 54:10.7 |
女子 15km C |
青木富美子 (真室川高教) 29:45.9 |
坂口真由美 (リクルート)30:31.5 |
星川 直美 (日大) 30:48.2 |
女子 30km C |
古川紀美栄 (陸自冬戦教)1:46:57.1 |
青木富美子 (真室川高教)1:50:26.6 |
竹節佐貴子 (北野建設) 1:52:18.7 |
女子 リレー |
リクルート 58:19.8 |
日本大学 58:50.2 |
日本体育大学 1:00:51.9 |
当時のジャパンチームAランク選手
男子 佐々木一成・今井博幸
女子 青木富美子・横山寿美子
佐々木一成が圧倒的な強さを発揮して危なげなく4冠を達成、女子の青木富美子も30kmフリーでは破れたものの3冠を獲得、第一人者の貫禄を見せた。男子50kmフリーで3位に入った岡本英男は、現在、同チームのヘッドコーチとして世界との差を一気に縮めてメダル獲得をも狙えるチームに育てた。
■ジャンプ
順位 | ラージヒル | 順位 | ノーマルヒル |
---|---|---|---|
1 | 原田 雅彦(雪印乳業) 115.0m/114.5m 226.8 |
1 | 斉藤 浩哉(雪印乳業) 83.7m/83.4m 208.0 |
2 | 上原子次郎(国土計画) 112.0m/115.0m 220.8 |
2 | 渋谷 潤 (たくぎん) 84.0m/83.6m 202.6 |
3 | 安崎 直幹(NTT北海道) 105.0m/110.5m 195.7 |
3 | 西方 仁也(雪印乳業) 84.0m/83.8m 202.0 |
当時のジャパンチームAランク選手
原田雅彦・葛西紀明・須田健仁・上原子次郎
ラージヒルは当時Aランキングの2人の戦い、ノーマルヒルはAランク入りを目指す3人のBランク選手の戦いとはっきり分かれた。ラージヒル3位の安崎、ノーマルヒル3位の西方は翌年揃ってAランク入りした。
第12回全日本フリースタイル選手権大会
会場:長野県飯山市 斑尾高原スキー場
種目 | 男子 | 得点 | 女子 | 得点 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
バレエ | 1 | 生沼 英幸(港区SA) | 24.60 | 1 | 田中由香子(港区SA) | 24.10 |
2 | 茶山 哲自(ナクリス) | 23.45 | 2 | 辻口さゆり(港区SA) | 19.70 | |
3 | 大和田 敦(シティ) | 22.95 | 3 | 家形 雅美(シティ) | 19.60 | |
モーグル | 1 | 山崎 修 (滝川スキー連) | 24.16 | 1 | 里谷 多英(FS少年団) | 21.67 |
2 | 原大虎(エクストリーム) | 23.75 | 2 | 附田 麻美(エクストリーム) | 19.83 | |
3 | 伊藤 篤 (ニセコSA) | 22.80 | 3 | 宮越 緑 (デサント) | 18.47 | |
エアリアル | 1 | 待井 寛 (リステル) | 126.11 | 1 | 藤井 博子(リステル) | 131.78 |
2 | 八木 琢麻(スカーゼ) | 125.37 | 2 | 上村 祐代(ノルディカ) | 116.26 | |
3 | 武用 健 (リステル) | 113.26 | 3 | 岩崎 彰子(FS少年団) | 95.57 | |
総合 | 1 | 山口 茂樹(イマジネーション) | 30.000 | 1 | 上村 祐代(ノルディカ) | 30.000 |
2 | 2 | 糸数 牧子(イマジネーション) | 16.430 |
当時のジャパンチームAランク選手
なし
オリンピックに出場したモーグルの山崎修が貫禄の優勝、第9回大会、第10回に続いて3度目のタイトルを獲得した。里谷多英も通算3度目の優勝を飾った。
第16回冬季オリンピック大会
開催国:フランス(FRA)
開催地:アルベールビル(Albertville)
■ジャンプ
70m | 14/原田 雅彦 83.5m/84.0m |
28/上原子次郎 80.0m/80.5m |
31/葛西 紀明 77.5m/83.5m |
39/須田 健仁 80.0m/83.5m |
---|---|---|---|---|
90m | 4/原田 雅彦 113.5m/116.0m |
17/須田 健仁 106.5m/97.5m |
25/上原子次郎 100.0m/97.5m |
26/葛西 紀明 101.5m/94.5m |
団体 | 4/上原子・原田・葛西・須田 571.0 |
■ノルディックコンバインド
個人 | 7/荻原 健司 215.3 |
19/河野 孝典 197.4 |
30/阿部 雅司 197.9 |
34/三ヶ田礼一 226.1 |
---|---|---|---|---|
団体 | 1/荻原・河野・三ヶ田 645.1 ※同競技初の金メダル獲得 |
■クロスカントリー
男子10km C | 27/今井 博幸 30:17.3 |
46/佐々木一成 31:31.4 |
||
---|---|---|---|---|
男子パシュート | 29/今井 博幸 1:10:08.8 |
35/佐々木一成 1:10:44.6 |
||
男子30km C | 32/今井 博幸 1:29:35.6 |
40/佐々木一成 1:30:35.9 |
||
男子50km F | 25/今井 博幸 2:13:33.0 |
40/佐々木一成 2:17:20.1 |
||
女子5km C | 30/青木富美子 15:33.0 |
43/太田 美和 16:03.1 |
48/星川 直美 16:13.2 |
54/猪又 由美 16:49.4 |
女子パシュート | 19/青木富美子 42:58.4 |
34/星川 直美 44:24.8 |
43/太田 美和 45:31.3 |
47/猪又 由美 46:12.6 |
女子15km C | 37/青木富美子 44:31.5 |
42/星川 直美 49:46.2 |
棄権/太田美和 | |
女子30km F | 41/太田 美和 1:35:19.4 |
42/星川 直美 1:35:29.4 |
44/青木富美子 1:36:21.9 |
|
女子リレー | 12/太田・青木・星川・猪又 1:04:09.3 |
ノルディックコンバインドが、とうとう夢を実現した。レース直前になって調子落ちしたエース、阿部雅司を外すという苦渋の決断を下した結果だった。しかし、外された阿部は腐ることなく後輩たちをサポート、その爽やかな行動に「4人目の金メダリスト」とマスコミはこぞって阿部を讃えた。チームを重点強化した立役者、八木祐四郎は、人目をはばからず号泣した。
クロスカントリーの実力者、佐々木一成だが、この大会ではメキメキ力をつけている今井博幸がすべての種目で佐々木を上回った。しかし、クロスカントリー全体では最高ランキングが19位(青木富美子)と、男女を通じて依然世界の厚い壁を突破することはできなかった。
■アルペン
種目 | 順位/選手名 | |||
---|---|---|---|---|
男子 滑降 |
25/富井 剛志 1:54.23 |
|||
男子 回転 |
18/岡部 哲也 1:49.48 |
棄権/木村 公宣 | 棄権/石岡 拓也 | |
男子 大回転 |
21/木村 公宣 2:12.10 |
29/石岡 拓也 2:15.09 |
棄権/富井 剛志 | |
男子 スーパーG |
33/木村 公宣 1:17.01 |
41/石岡 拓也 1:17.08 |
棄権/富井 剛志 | |
男子 複合 |
9/石岡 拓也 51.83 |
15/木村 公宣 64.14 |
||
女子 滑降 |
11/川端 絵美 1:54.52 |
26/山本さち子 1:58.52 |
||
女子 回転 |
棄権/山本さち子 | |||
女子 大回転 |
失格/川端 絵美 | |||
女子 スーパーG |
31/川端 絵美 1:27.31 |
33/山本さち子 1:27.54 |
||
女子 複合 |
13/川端 絵美 66.10 |
棄権/山本さち子 |
若きスラローマー、木村公宣はコンビネーションにもトライ、バルディゼールのダウンヒルコースでバランスを崩し、そそり立つ岩ぎりぎりを通過するなど周囲の関係者をひやひやさせたが、みごとに完走してコンビネーション15位の記録を残した。木村がバルディゼールのダウンヒルコースを滑ったのは、後にも先にもこの大会だけである。
フリースタイル
種目 | 男子 | 女子 |
---|---|---|
モーグル | 40/山崎 修14.49 | 不参加 |
記念すべきオリンピック初開催のモーグルに出場したのは山崎修ただ1人。日本の第一人者の山崎も、オリンピックのスケールの大きさに自分のパフォーマンスを発揮することなく終わってしまった。
(本文の敬称略)