2009/06/04

連載44 記録に見る日本のスキー競技史
1923年、日本のスキー競技ははじまった

1993年(平成5年)
第71回全日本スキー選手権大会

 

アルペン :青森県大鰐町大鰐温泉スキー場(技術系)
:北海道岩内町ニセコウエストバレー岩内スキー場(スピード系)
ノルディック :長野県白馬村白馬ジャンプ競技場(ジャンプ/コンバインドJP)
  白馬岩岳ラビランコース(コンバインドCC)
:北海道札幌市白旗山距離競技場
:青森県岩木町※クロスカントリー男子50km、女子30km

 

■アルペン

種目 1位 2位 3位
男子
滑降
富井 剛志(野沢温泉SC)
1:07.05
阿部 智幸(NTT北海道)
1:07.45
瀬戸 隆太(中大)
1:07.60
女子
滑降
加藤 祐希(筑波大)
1:07.50
平田 真弓(長野日大高)
1:08.67
竹田 砂織(札幌商高)
1:08.68
男子
スーパーG
富井 剛志(野沢温泉SC)
1:11.55
林護(富山第一高)
1:11.66
瀬戸 隆太(中大)
1:12.47
女子
スーパーG
悪天候のため中止
男子
大回転
木村 公宣(ロシニョール)
1:05.39/1:05.36 2:10.75
川口 城二(北海道東海大)
1:05.38/1:06.55 2:11.93
押切 敬司(ヤマハ)
1:05.84/1:06.14 2:11.98
女子
大回転
上村 文代(ライオン堂)
1:06.58/1:10.43 2:17.01
佐伯 幸 (堀越高)
1:07.17/1:11.93 2:19.10
森下 美奈()
1:07.47/1:11.98 2:19.45
男子
回転
岡部 哲也(デサント)
50.24/49.45 1:39.69
木村 公宣(近大)
50.98/48.77 1:39.75
石岡 拓也(ヤマハ)
51.03/48.84 1:39.87
女子
回転
吉田美輝子( )
56.10/53.59 1:49.69
山川 純子(日大)
56.75/53.78 1:50.53
三浦 百恵(大東文化大)
57.03/53.51 1:50.54

 

■当時のジャパンチームAランク選手
男子 岡部哲也・木村公宣
女子 川端絵美

 

男子大回転は、1本目ラップの川口城二を巡って木村公宣、押切敬司が追うという展開になったが、2本目、木村が猛然と追い込み、2位に1秒以上差をつける断トツのラップタームをマークして大逆転した。女子は、川端絵美が不在で優勝争いは混沌としてが、回転ではナンバー2の上村文代が制した。若手の成長著しい回転では、ベテランの仲間入りをした吉田美輝子が1本目のラップをリードして逃げ切った。

 

■ノルディックコンバインド

順位 選手名 所属 飛躍点 距離タイム
阿部 雅司 東京美装 228.5(1) 39:40.8(5)
荻原 健司 北野建設 208.2(3) 39:46.0(6)
河野 孝典 野沢温泉SC 210.7(2) 40:15.0(8)

 

■当時のジャパンチームAランク選手
荻原健司・河野孝典・阿部雅司・古川純一
 

当時の3強の争いとなり、高いレベルの戦いを制したのは、ジャンプ、クロスカントリーともライバルを退けた阿部雅司だった。とくに阿部は、冬季オリンピックの開催サイクルを夏季大会とズラすため、前回大会から2年後に開催され、明年1994年(リレハンメル)に開催されることが急遽決まった。1992年のアルベールビルオリンピックでは、体調不良により金メダルメンバーから外れて、リレハンメル大会で雪辱を誓っていた阿部には、どうしても負けられない理由がここにあった。

 

■クロスカントリー

種目 1位 2位 3位
男子
10km C
佐々木一成
(北野建設)28:03.1
今井 博幸
(NTT信越)28:55.1
常田 武彦
(中野実業高)29:07.9
男子
15km F
佐々木一成
(北野建設) 37:10.0
今井 博幸
(NTT信越)38:34.8
長浜 一年
(シークラフト)38:49.5
男子
30km C
今井 博幸
(NTT信越)1:39:59.0
長浜 一年
(シークラフト) 1:42:54.7
佐々木一成
(北野建設)1:44:40.3
男子
50km F
佐々木一成
(北野建設)1:53:49
渡辺 博文
(イセト紙工)1:56:59
山﨑 正晴
(同和鉱業)不明
男子
リレー
中央大学
1:53:43.8
同和鉱業スキークラブ
1:54:01.8
中野実業高校
1:54:56.1
女子
5km C
青木富美子
(真室川高教)14:50.4
五十嵐陽子
(弘果SRC)15:22.7
佐藤恵美子
(早大)15:36.1
女子
10km F
青木富美子
(真室川高教) 27:08.6
坂口真由美
(リクルート)28:06.1
星川 直美
(猪苗代SC)28:06.6
女子
15km C
青木富美子
(真室川高教) 54:35.5
五十嵐陽子
(弘果SRC) 54:58.9
坂口真由美
(リクルート)56:46.1
女子
30km F
大畑多佳子
(リクルート)1:19:43
竹節佐貴子
(北野建設)不明
佐藤 雪野
(東京美装)不明
女子
リレー
リクルート
1:00:56.1
日本大学
1:01:33.6
日本体育大学
1:03:27.3

当時のジャパンチームAランク選手
女子 青木富美子
 

今大会、はじめて分離開催された。女子30km、男子50kmの両種目は青森県岩木町で行われたが、スキー年鑑には大会報告はあるがリザルツが抜けている。そのため男子の3位、女子の2位及び3位のタイムが不明となっている。これまでリザルツが別々に届くことがなかったために見落としたか、掲載漏れしたようだ。

 

■ジャンプ

順位 ラージヒル 順位 ノーマルヒル
岡部 孝信(たくぎん)
115.0m/103.0m 189.7
葛西 紀明(地崎工業)
89.5m/85.5m 220.5
原田 雅彦(雪印乳業)
112.0m/103.0m 185.3
東輝 (ニッカウイスキー)
86.5m/87.0m 211.1
東輝 (ニッカウイスキー)
90.5m/110.0m 156.7
西方 仁也(雪印乳業)
90.0m/82.5m 209.5

当時のジャパンチームAランク選手
原田雅彦・葛西紀明・東 輝・岡部孝信・安崎直幹・西方仁也

 

技術代表を努めた中村圭彦は報告で、31日のラージヒルは強い風と降雪が激しく、とくに風向きが瞬時にして変わり、しかも踏み切り台、着地斜面などの風が常にバラバラという厳しい状態の中で行われた。風を待つ間に、雪が積もり、K点を越す大飛躍はアウトラインへの移行部で雪に突っ込んで転倒する危険があるため安全優先の助走速度を抑えて、釈然としない集結となったと結んでいる。
 
その中で、評価できるのは初優勝を飾った岡部孝信の1本目115m、原田雅彦の1本目112m、そして追い風の中で東輝が110mを記録した3飛躍だけだったとしている。その中村圭彦は、昨年(平成20年)3月25日、その長いジャンプ人生にピリオドを打った。

 

第13回全日本フリースタイル選手権大会
会場:福島県猪苗代町 リステルスキーファンタジア

 

種目 男子 得点 女子 得点
バレエ 1 生沼 英幸(港区MFF) 25.90 1 上村 祐代(ノルディカ) 20.10
2 小倉 慎一(シティ) 21.35 2 田中由香子(港区MFF) 19.60
3 長谷川宏太郎(港区MFF) 19.75 3 家形 雅美(シティ) 18.00
モーグル 1 附田 雄剛(エクストリーム) 24.14 1 里谷 多英(東海大四高) 19.55
2 三浦 豪太(エスビー食品) 23.46 2 高倉 陽子(NISEKO) 16.90
3 原 大虎(エクストリーム) 20.67 3 飛鷹 祥子(スノードルフィン) 14.99
エアリアル 1 山口 茂樹(イマジネーション) 132.73 1 上村 祐代(ノルディカ) 187.62
2 安藤 和明(ダイワ精工) 118.51 2 大竹 文子(浦和アミィ) 83.77
3 待井 寛(リステル) 118.24 3 岩渕千代子(エクストリーム) 83.38

当時のジャパンチームAランク選手
男子モーグル 岩渕隆二

 

モーグルは、現在も現役を続けている附田雄剛、里谷多英両選手が優勝を飾っている。とくに、男子はエース、山崎修が引退して世代交代、その中で新星、附田が三浦豪太、原大虎を破ってリレハンメルオリンピックの代表争いに加わった。

 

FIS世界選手権大会
ノルディック
開催国:スウェーデン(SWE)
開催地:ファールン(Falun)

 

■ジャンプ

70m 1/原田 雅彦
92.5/88.0m 237.8
7/西方 仁也
85.5m/87.0m 214.5
10/葛西 紀明
86.5m/82.5m 208.9
14/岡部 孝信
85.0m/83.0m 206.8
90m 4/原田 雅彦
115.0m/113.0m 231.2
7/葛西 紀明
114.5m/99.0m 202.9
12/岡部 孝信
101.5m/107.0m 189.4
56/西方 仁也
67.0m/73.0m 51.2
団体 5/須田健仁・岡部・葛西・原田 761.0

 

■ノルディックコンバインド

個人 1/荻原 健司
222.2
5/河野 孝典
213.3
6/阿部 雅司
218.2
40/三ヶ田礼一
159.7
団体 1/河野・阿部・荻原 663.7

■クロスカントリー

男子10km C 42/長浜 一年
26:51.6
50/渡辺 博文
27:02.3
64/佐々木一成
27:30.3
80/今井 博幸
28:06.3
男子パシュート 42/佐々木一成
1:06:12.1
43/渡辺 博文
1:06:12.5
53/長浜 一年
1:07:13.2
61/渡辺 博文
1:25:32.3
男子30km C 45/長浜 一年
1:24:07.5
50/佐々木一成
1:24:26.6
59/今井 博幸
1:25:17.0
男子50km F 16/渡辺 博文
2:09:33.3
23/佐々木一成
2:10:38.8
49/今井 博幸
2:17:48.6
男子リレー 11/長浜・渡辺・佐々木・今井 1:49:49.7
女子5km C 41/青木富美子
14:23.1
67/横山寿美子
16:36.0
女子パシュート 24/青木富美子
42:34.5
59/横山寿美子
46:49.9
女子15km C 20/青木富美子
48:23.3
54/横山寿美子
52:39.1
女子30km F 40/青木富美子
1:32:38.9

1992年アルベールビルオリンピックで金メダルを獲得したノルディックコンバインドの団体は、さらに最強チームを構築、圧倒的な強さで金メダルを獲得、エース荻原健司は個人戦も金メダル、そしてワールドカップでは、日本選手初の総合優勝を飾って世界各国の関係者からキングオブスキーの称号を与えられた。ジャンプの原田雅彦も70mで金メダルを獲得、ノルディック世界選手権大会は史上初の金メダル3個を獲得して世界の関係者から恐れられた。

 

■アルペン
開催国:日本
開催地:雫石スキー場

 

種目 順位/選手名
男子
滑降
34/富井 剛志
1:35.51
男子
回転
20/木村 公宣
53.19/51.80 1:44.99
24/押切 敬司
52.85/52.98 1:45.83
男子
大回転
23/木村 公宣
1:11.59/1:09.42 2:21.01
32/川口 城二
1:13.56/1:10.46 2:24.02
33/押切 敬司
1:12.69/1:11.17 2:24.06
男子
スーパーG
悪天候のため中止
男子
複合
8/木村 公宣
88.89
27/川口 城二
不明
女子
滑降
29/川端 絵美
1:29.41
女子
回転
30/川端 絵美
50.16/47.61 1:37.77
31/池田 和子
50.76/47.37 1:38.13
女子
大回転
30/川端 絵美
1:14.36/1:12.58 2:26.94
棄権/上村 祐代
女子
スーパーG
32/川端 絵美
1:36.74
42/上村 祐代
1:38.49
女子
複合
29/池田 和子
227.08
棄権/川端 絵美

はじめて日本で開催された世界選手権大会は、期間中、悪天候に泣かされた。地元の大会関係者は大会を成功させるために連日、フラフラになるまで徹夜の作業を行った。その甲斐あってキャンセルになったのは男子スーパーGだけだった。日本選手は、期待された男女のエース、木村公宣、川端絵美とも不発に終わり、新聞各紙はこぞってジャパンチームに厳しい評価を下した。

 

フリースタイル
開催国:オーストリア(AUT)
開催地:アルテンマルクト(Altenmarkt)

 

種目 男子 女子
アクロ
21 生沼 英幸 18.20 15 田中由香子 17.90
モーグル 26 岩渕 隆二 20.41
67 本間 篤史 2.45
エアリアル 29 横山 岳男 141.10

世界選手権大会4度目の挑戦となったが、3種目とも世界の壁を乗り越えることはできなかった。とくのモーグルの岩渕隆二は、このシーズンのワールドカップ(リレハンメル大会)でモーグル初の3位に入賞した選手で、この大会では大いに期待されたが惨敗だった。

 

(本文の敬称略)