2008/10/30

連載15 記録に見る日本のスキー競技史
1923年、日本のスキー競技ははじまった

1960年(昭和35年)
第38回全日本スキー選手権大会

会場 :新潟県高田市金山スキー場(ノルディック)
:新潟県妙高高原(アルペン)

 

競技名 種目名 優勝者 所属 記録
ジャンプ 吉沢 広司 同和花岡 56.0m/58.5m
ノルディックコンバインド 笠松 繁 東洋高圧 444.9
クロスカントリー 耐久 村井 才春 東洋高圧 3:33.04
長距離 北村 辰夫 中電工 56.44
女子 横山 良子 風間スキークラブ 41.41
リレー(男子) 中電工 3:14.00
リレー(女子) 風間スキークラブ 1:24.58
アルペン 滑降(男子) 出雲 道男 天理スキークラブ 2:03.8
滑降(女子) 河畑 栄子 双葉高校 1:43.5
回転(男子) 杉山 進 長野電鉄 2:45.0
回転(女子) 大滝はつ江 三馬ゴム 1:49.8
大回転(男子) 出雲 道男 天理スキークラブ 2:16.8
大回転(女子) 大滝はつ江 三馬ゴム 1:43.0

 ジャンプはベテラン、酒井清孝(三井芦別)と吉沢広司(同和花岡)の優勝争いとなり、吉沢が4度目の優勝を飾った。注目されたのは、笠谷幸生(余市高)、東 恒弘(北照高校)の高校生コンビの活躍。とくに笠谷は1本目、59メートルの最長不倒距離をマークして観衆を沸かせたとスキー年鑑(第28号)に記録されている。その笠谷は3位、東は7位だった。笠谷については、その後、1972年札幌オリンピックの70m級ジャンプで冬季オリンピック史上初の金メダルを獲得、スキー史にその名を残している。
 現在、笠谷は競技本部長として2010年バンクーバーオリンピックでのメダル獲得へ向けて強化の目を各チームに向けている。
 アルペンでは、回転6位に元SAJ専務理事の丸山庄司(白馬体育協会)が入っており、他では元理事は畑山匡(直江津中学)、銀座のスキーショップ「好日山荘」の子息、海野好彦の名前もある。

 

第8回冬季オリンピック
スコーバレー(アメリカ)/開催期間:2月18日~2月28日
 

代表選手 参加競技と成績
純飛躍 複合 距離
菊地 定夫 15 88.5m/77m
佐藤 耕一 22 82m/78m
江遠 要甫 25 85.5m/72.5m 15 429.984
松井 孝 30 78.5m/75m
谷口 明見 24 409.226 リレー 10 2:36:44.9
佐藤 和男 15km 30 56:15.0
30km 41 2:07:07.2
リレー 10 2:36:44.9
松橋 高司 15km 40 57:49.1
30km 35 2:06:25.5
リレー 10 2:36:44.9
栗田 栄治 15km 45 57:57.0
30km 39 2:11:25.8
リレー 10 2:36:44.9

アルペン:バドガシュタイン(オーストリア)

 

代表選手 滑降 回転 大回転
猪谷 千春 34 2:25.0 12 2:20.2 23 1:55.8
多田 修 46 2:28.5 26 2:44.0 35 2:06.5
見谷 昌禧 53 2:31.3 失格 33 2:05.6
武田 孝 33 2:56.0 44 2:13.4

 ノルディックコンバインドに出場した江遠要甫は、前半の飛躍(60m級)で3本目に最長不倒距離をマークして3位に入り、後半の距離に期待が集まった。しかし、飛躍以上に世界との差が大きい距離では、ラップに7分20秒離されてしまい15位に終わった。
 アルペン回転での猪谷千春は、1本目、ゼッケン21番の不利を克服してラップに2秒1差の6位につきえて、1956年、コルティナダンペッツォに次ぐ2大会連続メダル獲得も見えた。しかし、2本目、コースは荒れ、ドイツのボグナー、フランスのボンリューら名手が28旗門目で続けて失敗、猪谷もその28旗門を目の前にした26旗門目の平凡なオープンテレグラムで溝にエッジを取られて大きくコースをはみ出してしまった。
 猪谷は、5~6歩登ってコースに戻って滑ったが、タイムロスは大きく結果は12位。しかし、棄権せずに滑ったことで大観衆の賞賛を得たと報告されている。

 

複合、前半距離のスタート前リラックスする選手たち。左から佐藤和男、栗田栄治、谷口明見、江遠要甫

複合、前半距離のスタート前リラックスする選手たち。左から佐藤和男、栗田栄治、谷口明見、江遠要甫

サンフランシスコのホテル前を会場に向けて出発する直前に撮影。左から見谷昌禧、谷口明見、多田 修、木原均団長、坂田秘書、栗田栄治、松井 孝、1人おいて佐藤和男、落合力松、橋本茂生コーチ、江遠要甫の各メンバー

サンフランシスコのホテル前を会場に向けて出発する直前に撮影。左から見谷昌禧、谷口明見、多田 修、木原均団長、坂田秘書、栗田栄治、松井 孝、1人おいて佐藤和男、落合力松、橋本茂生コーチ、江遠要甫の各メンバー

滑降でも素晴らしいプレジャンプを見せる猪谷千春

滑降でも素晴らしいプレジャンプを見せる猪谷千春

複合の前半ジャンプで江遠が3位と大健闘、思わず掲示板にカメラを向けた

複合の前半ジャンプで江遠が3位と大健闘、思わず掲示板にカメラを向けた

1961年(昭和36年)
第39回全日本スキー選手権大会
会場:長野県志賀高原

 

競技名 種目名 優勝者 所属 記録
ジャンプ 松井 孝 早大 76.0m/78.0m
ノルディックコンバインド 江遠 要甫 明大 445.4
クロスカントリー 50km 佐藤 和男 野沢温泉 3:01.42
15km 佐藤 和男 野沢温泉 54.48
女子10km 髙橋 弘子 湯沢北高校 47.38
リレー(男子) 長野電鉄 2:26.11
リレー(女子) 湯沢北高校 1:34.55
アルペン 滑降(男子) 藤島 幸造 日大 2:25.3
滑降(女子) 富井 初子 野沢温泉 2:40.2
回転(男子) 藤島 幸造 日大 2:33.8
回転(女子) 富井 初子 野沢温泉 1:58.4
大回転(男子) 気田 義也 倶知安高校 2.13.9
大回転(女子) 富井 初子 野沢温泉 1:31.5

ノルディック、アルペンとも長野県・志賀高原で行われた。クロスカントリーは、野沢温泉スキークラブの佐藤和男が50km、15kmとも制したが、とくに50kmでは2位に3分近い大差をつけて力の違いを見せつけた。
 アルペン女子の富井初子(野沢温泉スキークラブ)は2度目の三冠を達成、日大の藤島幸造も滑降、回転の2種目を制した。

 

第39回全日本選手権のクロスカントリー女子10kmで優勝した髙橋弘子(秋田・湯沢北高校)。髙橋(途中から千葉の姓で出場)はこの後、同種目で女子としては数々のタイトルを獲得する

第39回全日本選手権のクロスカントリー女子10kmで優勝した髙橋弘子(秋田・湯沢北高校)。髙橋(途中から千葉の姓で出場)はこの後、同種目で女子としては数々のタイトルを獲得する

アルペンで2冠を制した日大の藤島幸造

アルペンで2冠を制した日大の藤島幸造