連載21 記録に見る日本のスキー競技史
1923年、日本のスキー競技ははじまった
1970年(昭和45年)
第48回全日本スキー選手権大会
会場 | :アルペン | 北海道札幌市・恵庭岳滑降競技場/手稲山アルペン競技場 |
会場 | :ノルディック | 北海道札幌市・真駒内距離競技場/大倉山及び宮の森 |
同大会は、1972年札幌オリンピックのリハーサル大会としてアルペン、ノルディック総合大会として五輪会場を使って行われた。しかし、悪天候に悩まされ、とくの滑降会場となった恵庭岳は暖冬、ドカ雪、雪崩れなど次々とアクシデントに見舞われ、日程を変更を余儀なくされた。
■アルペン
順 | 滑降 | 回転 | 大回転 |
---|---|---|---|
■男子 | |||
1 | 富井 澄博(日大) 1:39.73 |
鈴木 謙二(芝工大) 56.23/57.81 1:54.04 |
次井 雪雄(日大) 1:34.38 |
2 | 岡田 千景(日大) 1:40.83 |
園部 知昭(法大) 55.66/58.63 1:54.29 |
小林 平康(中大) 1:34.54 |
3 | 星野 富夫(専大) 1:40.99 |
市村 政美(法大) 55.20/59.60 1:54.80 |
岡田 千景(日大) 1:34.74 |
■女子 | |||
1 | 猪谷 素子(慶大) 1:41.31 |
村山八千代(東洋木材) 47.6/51.6 1:39.2 |
林 民子(風間スキークラブ) 1:24.15 |
2 | 酒井美代子(日体大) 1:42.46 |
酒井美代子(風間スキー) 47.9/53.3 1:41.2 |
生出 芳枝(大東文化大) 1:25.20 |
3 | 柴田 優子(小賀坂) 1:43.22 |
岡崎恵美子(アジアスキー) 48.7/53.0 1:41.7 |
酒井美代子(日体大) 1:25.57 |
スラロームは、7位まで「学連勢」が占める結果となった。スタート直後の34度という急斜面がアイスバーンとなり、勝敗を分けるポイントとなった。1本目、法政大学の市村がラップを奪ったが、2本目、1本目3位だった芝浦工大の鈴木がただ一人57秒台をマークして逆転優勝した。
女子スラロームで優勝した村山は、選手引退後、男子優勝の鈴木と結婚した。
■ノルディックコンバインド
選手名 | 少年 | |
---|---|---|
1 | 中野 秀樹(北照高校) 飛躍点202.5/距離点212.4 414.9 |
中野 秀樹(北照高校) 飛躍点202.5/距離点212.4 414.9 |
2 | 中村 守(芝工大) 飛躍点170.0/距離点195.8 365.8 |
山田 和広(弘前実業高) 飛躍点181.0/距離点173.4 354.4 |
3 | 山田 和広(弘前実業高) 飛躍点181.0/距離点173.4 354.4 |
桑原 新一(国鉄北海道) 飛躍点125.5/距離点187.8 313.3 |
少年組の中野(17歳・北照高校2年)は、一般でも優勝するけた違いの強さを見せた。ジャンプでは吉岡孝久(羽幌スキー)に敗れたものの、距離では他の選手を寄せ付けず逆転優勝を果たした。
■クロスカントリー
リレー | 15km | 30km | 50km | |
---|---|---|---|---|
■男子 | ||||
1 | 北方スキー 2:41:04.6 |
松村 元治(北方スキー) 52:16.8 |
佐藤 新二(日大) 1:50:55.0 |
山家 祥幸(日大) 3:44:54.0 |
2 | 日大 2:41:53.4 |
岡村 富雄(慶大) 53:18.0 |
工藤 誠二(国鉄北海道) 1:51:05.7 |
木田 光広(三馬ゴム) 3:47:36.0 |
3 | 国鉄北海道 2:44:28.5 |
工藤 誠二(国鉄北海道) 53:21.5 |
松村 元治(北方スキー) 1:51:06.0 |
小沢 輝雄(高田自衛隊) 3:49:38.8 |
■女子 | (5km) | (10km) | ■少年(15km) | |
1 | 大東文化大 55:49.4 |
斎藤 秀子 (鳴子スキー)18:47.1 |
斎藤 秀子 (鳴子スキー)46:48.0 |
成田 耕治 (小坂高)54:36.6 |
2 | 三馬ゴム 56:41.9 |
菊地 篤子 (弘前実業高)18:58.1 |
松村美代子 (飯山南高)47:16.2 |
後藤 一義 (新井高)54:54.5 |
3 | 鳴子スキー 56:53.9 |
松村美代子 (飯山南高)19:15.3 |
菊地 篤子※同着2位 (弘前実業高)47:16.2 |
吉田 茂 (札商高)55:33.9 |
男子では、北海道スキー選手権で三冠王となった松村が15kmを制した。50kmはスタートした43選手中、完走したのは21選手という荒れたレースとなったが、40km地点でただ一人3時間を切る快走を見せた山家が初優勝を飾った。
■ジャンプ
90m | 60m | 60m(少年) | |
---|---|---|---|
1 | 浅利 正勝(雪印乳業) 105.5m/100.0m 241.0 |
成田 忠夫(鷹巣農林高) 80.5m/83.5m 236.5 |
中野 秀樹(北照高) 75.0m/80.0m 219.6 |
2 | 杉本 政徳(国鉄北海道) 99.0m/93.0m 213.1 |
松原 敏幸(国鉄北海道) 81.0m/81.0m 228.8 |
角田 幸司(札商高) 79.5m/75.0m 204.8 |
3 | 斎藤 公男(芝工大) 102.0m/89.0m 212.7 |
斎藤 公男(芝工大) 76.5m/80.5m 221.3 |
古川 祐治(札商高) 70.5m/74.0m 193.8 |
世界選手権大会組が欠場しての大会となったが、90mで浅利が2本100m台ジャンプを揃えて優勝、70mでは高校生の成田が2本目に83.5mの最長不倒虚栄をマークして社会人、大学生を抑えて優勝を飾った。
世界選手権大会派遣選手と成績
ノルディック:ビソケ タトリ(チェコスロバキア)
代表選手と成績 | ||||
---|---|---|---|---|
■ジャンプ | ||||
70m | 90m | |||
笠谷 幸生 | 2 | 84.5m/79m 237.7 | 32 | 79m/100m 188.4 |
青地 清二 | 7 | 81m/79m 231.6 | 44 | 80m/92m 173.6 |
藤沢 隆 | 15 | 79m/76m 221.8 | 6 | 89.5m/99m 207.7 |
沢田 久喜 | 40 | 73m/72m 203.1 | 42 | 83m/91.5m 176.1 |
■ノルディックコンバインド | ||
---|---|---|
勝呂 裕司 | 8 | 386.12 |
板垣 宏志 | 20 | 345.30 |
佐々木信孝 | 30 | 316.92 |
荒谷 一夫 | 35 | 211.90 |
■クロスカントリー | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
男子 | 15km | 30km | 50km | リレー | ||||
佐藤常貴雄 | 37 | 50:57.93 | 棄権 | 12 | 2:15:28.91 | |||
松岡 昭義 | 38 | 50:58.22 | 36 | 1:48:21.88 | 12 | 2:15:28.91 | ||
岩谷 俊一 | 42 | 51:36.70 | 48 | 1:52:36.70 | 12 | 2:15:28.91 | ||
浅野 義雄 | 50 | 52:17.59 | 50 | 1:52:40.01 | 棄権 | |||
柴田 国男 | 40 | 3:09:46.20 | ||||||
谷藤 秀夫 | 12 | 2:15:28.91 |
女子 | 5km | 10km | リレー | |||
浅井宇良子 | 29 | 19:56.27 | 29 | 39:10.48 | 10 | 59:31.91 |
高橋 弘子 | 35 | 20:35.50 | 30 | 39:19.78 | 10 | 59:31.91 |
樋口佐江子 | 36 | 20:40.13 | 39 | 41:28.45 | 10 | 59:31.91 |
加藤富士子 | 38 | 20:58.83 | 41 | 42:18.91 |
笠谷幸生が70mで1本目84.5mの最長不倒距離をマークしてみごと銀メダルを獲得。青地も7位、藤沢が90m6位で国別対抗ではメダル獲得は逃がしたものの、4位と大健闘した。90mでは笠谷が1本目に失敗して圏外に去ってしまったが、2本目は4位に相当する100mジャンプを決めただけに、1本目の失敗が悔やまれた。
アルペン:バルガルディーナ/グローデン(イタリア)
代表選手 | 滑降 | 回転 | 大回転 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
大杖 正彦 | 男子 | 36 | 2:31.23 | ||||
古川 年正 | 男子 | 19 | 54.05/54.28 1:43.33 |
56 | 2:29.30/2:17.09 4:46.39 |
||
柏木 正義 | 男子 | 棄権 | 40 | 2:24.43/2:12.40 4:36.83 |
|||
村上 吉弘 | 女子 | 65 | 2:32.40/2:20.44 4:52.84 |
||||
南雲美津代 | 女子 | 27 | 2:07.18 | 26 | 57.58/59.55 1:57.13 |
35 | 1:29.41 |
沖津はる江 | 女子 | 35 | 2:11.87 | 25 | 56.52/59.78 1:55.30 |
28 | 1:27.41 |
片桐 美雪 | 女子 | 29 | 不明 1:58.45 |
45 | 1:34.01 |
男女とも3選手で挑んだが、世界の厚い壁はびくともしなかった。札幌オリンピックを2年後に控え、男子コーチの斎藤貢は、全種目に目を向けるよりもスラームを重点種目にして今後強化を図る、とスキー年鑑で報告している。
(文中の敬称略)

豪快なジャンプで70mで銀メダルを獲得した笠谷幸生

戦いの前に記念撮影する距離陣。左からコンバインドの勝呂、岩谷、浅野、谷藤、佐々木、荒谷の各選手