2008/12/12

連載21 記録に見る日本のスキー競技史
1923年、日本のスキー競技ははじまった

1970年(昭和45年)
第48回全日本スキー選手権大会

会場 :アルペン 北海道札幌市・恵庭岳滑降競技場/手稲山アルペン競技場
会場 :ノルディック 北海道札幌市・真駒内距離競技場/大倉山及び宮の森

同大会は、1972年札幌オリンピックのリハーサル大会としてアルペン、ノルディック総合大会として五輪会場を使って行われた。しかし、悪天候に悩まされ、とくの滑降会場となった恵庭岳は暖冬、ドカ雪、雪崩れなど次々とアクシデントに見舞われ、日程を変更を余儀なくされた。

 

■アルペン

滑降 回転 大回転
■男子
富井 澄博(日大)
1:39.73
鈴木 謙二(芝工大)
56.23/57.81 1:54.04
次井 雪雄(日大)
1:34.38
岡田 千景(日大)
1:40.83
園部 知昭(法大)
55.66/58.63 1:54.29
小林 平康(中大)
1:34.54
星野 富夫(専大)
1:40.99
市村 政美(法大)
55.20/59.60 1:54.80
岡田 千景(日大)
1:34.74

 

■女子
猪谷 素子(慶大)
1:41.31
村山八千代(東洋木材)
47.6/51.6 1:39.2
林 民子(風間スキークラブ)
1:24.15
酒井美代子(日体大)
1:42.46
酒井美代子(風間スキー)
47.9/53.3 1:41.2
生出 芳枝(大東文化大)
1:25.20
柴田 優子(小賀坂)
1:43.22
岡崎恵美子(アジアスキー)
48.7/53.0 1:41.7
酒井美代子(日体大)
1:25.57

スラロームは、7位まで「学連勢」が占める結果となった。スタート直後の34度という急斜面がアイスバーンとなり、勝敗を分けるポイントとなった。1本目、法政大学の市村がラップを奪ったが、2本目、1本目3位だった芝浦工大の鈴木がただ一人57秒台をマークして逆転優勝した。
女子スラロームで優勝した村山は、選手引退後、男子優勝の鈴木と結婚した。

 

■ノルディックコンバインド

選手名 少年
中野 秀樹(北照高校)
飛躍点202.5/距離点212.4 414.9
中野 秀樹(北照高校)
飛躍点202.5/距離点212.4 414.9
中村 守(芝工大)
飛躍点170.0/距離点195.8 365.8
山田 和広(弘前実業高)
飛躍点181.0/距離点173.4 354.4
山田 和広(弘前実業高)
飛躍点181.0/距離点173.4 354.4
桑原 新一(国鉄北海道)
飛躍点125.5/距離点187.8 313.3

少年組の中野(17歳・北照高校2年)は、一般でも優勝するけた違いの強さを見せた。ジャンプでは吉岡孝久(羽幌スキー)に敗れたものの、距離では他の選手を寄せ付けず逆転優勝を果たした。

 

■クロスカントリー

リレー 15km 30km 50km
■男子
北方スキー
2:41:04.6
松村 元治(北方スキー)
52:16.8
佐藤 新二(日大)
1:50:55.0
山家 祥幸(日大)
3:44:54.0
日大
2:41:53.4
岡村 富雄(慶大)
53:18.0
工藤 誠二(国鉄北海道)
1:51:05.7
木田 光広(三馬ゴム)
3:47:36.0
国鉄北海道
2:44:28.5
工藤 誠二(国鉄北海道)
53:21.5
松村 元治(北方スキー)
1:51:06.0
小沢 輝雄(高田自衛隊)
3:49:38.8

 

■女子 (5km) (10km) ■少年(15km)
大東文化大
55:49.4
斎藤 秀子
(鳴子スキー)18:47.1
斎藤 秀子
(鳴子スキー)46:48.0
成田 耕治
(小坂高)54:36.6
三馬ゴム
56:41.9
菊地 篤子
(弘前実業高)18:58.1
松村美代子
(飯山南高)47:16.2
後藤 一義
(新井高)54:54.5
鳴子スキー
56:53.9
松村美代子
(飯山南高)19:15.3
菊地 篤子※同着2位
(弘前実業高)47:16.2
吉田 茂
(札商高)55:33.9

男子では、北海道スキー選手権で三冠王となった松村が15kmを制した。50kmはスタートした43選手中、完走したのは21選手という荒れたレースとなったが、40km地点でただ一人3時間を切る快走を見せた山家が初優勝を飾った。

 

■ジャンプ

90m 60m 60m(少年)
浅利 正勝(雪印乳業)
105.5m/100.0m 241.0
成田 忠夫(鷹巣農林高)
80.5m/83.5m 236.5
中野 秀樹(北照高)
75.0m/80.0m 219.6
杉本 政徳(国鉄北海道)
99.0m/93.0m 213.1
松原 敏幸(国鉄北海道)
81.0m/81.0m 228.8
角田 幸司(札商高)
79.5m/75.0m 204.8
斎藤 公男(芝工大)
102.0m/89.0m 212.7
斎藤 公男(芝工大)
76.5m/80.5m 221.3
古川 祐治(札商高)
70.5m/74.0m 193.8

世界選手権大会組が欠場しての大会となったが、90mで浅利が2本100m台ジャンプを揃えて優勝、70mでは高校生の成田が2本目に83.5mの最長不倒虚栄をマークして社会人、大学生を抑えて優勝を飾った。

 

世界選手権大会派遣選手と成績
ノルディック:ビソケ タトリ(チェコスロバキア)

 

代表選手と成績
■ジャンプ
70m 90m
笠谷 幸生 84.5m/79m 237.7 32 79m/100m 188.4
青地 清二 81m/79m 231.6 44 80m/92m 173.6
藤沢 隆 15 79m/76m 221.8 89.5m/99m 207.7
沢田 久喜 40 73m/72m 203.1 42 83m/91.5m 176.1

 

■ノルディックコンバインド
勝呂 裕司 386.12
板垣 宏志 20 345.30
佐々木信孝 30 316.92
荒谷 一夫 35 211.90

 

■クロスカントリー
男子 15km 30km 50km リレー
佐藤常貴雄 37 50:57.93 棄権 12 2:15:28.91
松岡 昭義 38 50:58.22 36 1:48:21.88 12 2:15:28.91
岩谷 俊一 42 51:36.70 48 1:52:36.70 12 2:15:28.91
浅野 義雄 50 52:17.59 50 1:52:40.01 棄権
柴田 国男 40 3:09:46.20
谷藤 秀夫 12 2:15:28.91

 

女子 5km 10km リレー
浅井宇良子 29 19:56.27 29 39:10.48 10 59:31.91
高橋 弘子 35 20:35.50 30 39:19.78 10 59:31.91
樋口佐江子 36 20:40.13 39 41:28.45 10 59:31.91
加藤富士子 38 20:58.83 41 42:18.91

笠谷幸生が70mで1本目84.5mの最長不倒距離をマークしてみごと銀メダルを獲得。青地も7位、藤沢が90m6位で国別対抗ではメダル獲得は逃がしたものの、4位と大健闘した。90mでは笠谷が1本目に失敗して圏外に去ってしまったが、2本目は4位に相当する100mジャンプを決めただけに、1本目の失敗が悔やまれた。
 

アルペン:バルガルディーナ/グローデン(イタリア)

 

代表選手 滑降 回転 大回転
大杖 正彦 男子 36 2:31.23
古川 年正 男子 19 54.05/54.28
1:43.33
56 2:29.30/2:17.09
4:46.39
柏木 正義 男子 棄権 40 2:24.43/2:12.40
4:36.83
村上 吉弘 女子 65 2:32.40/2:20.44
4:52.84
南雲美津代 女子 27 2:07.18 26 57.58/59.55
1:57.13
35 1:29.41
沖津はる江 女子 35 2:11.87 25 56.52/59.78
1:55.30
28 1:27.41
片桐 美雪 女子 29 不明
1:58.45
45 1:34.01

男女とも3選手で挑んだが、世界の厚い壁はびくともしなかった。札幌オリンピックを2年後に控え、男子コーチの斎藤貢は、全種目に目を向けるよりもスラームを重点種目にして今後強化を図る、とスキー年鑑で報告している。
(文中の敬称略)

 

豪快なジャンプで70mで銀メダルを獲得した笠谷幸生

豪快なジャンプで70mで銀メダルを獲得した笠谷幸生

戦いの前に記念撮影する距離陣。左からコンバインドの勝呂、岩谷、浅野、谷藤、佐々木、荒谷の各選手

戦いの前に記念撮影する距離陣。左からコンバインドの勝呂、岩谷、浅野、谷藤、佐々木、荒谷の各選手