競技
2026/03/24【Report 競技本部 情報・医・科学部】アルペンGS滑走ラインの計測および映像サポートの実施について
2026年3月2日、長野県八方尾根スキー場においてアルペンFEC(ファーイーストカップ)大会が開催され、本連盟競技本部 情報・医・科学部の科学/情報部門専門委員は情報収集および競技支援を目的として、昨年度に引き続きGSレースの滑走ライン分析を実施しました。分析はビデオカメラによる撮影および映像解析によって行い、得られた映像情報はコーチへ提供しました。
ゴールエリア下方の丘からのビデオ撮影の様子:フォールライン方向から撮影
アルペンGS競技においてはライン取りが競技結果に大きく影響します。ライン取りには、斜度、雪質、セット状況など多くの要因が関係します。当日は気温の上昇が予想されており、雪質の軟化とコースの掘れが進むことが想定されていました。そのため、このようなコンディションが選手のコースマネジメントにどのような影響を与えるかが注目されました。
ビデオ映像から得られた滑走ラインおよびターン中に外スキーが流された例
(画像認識の都合よりスキー板ではなく頭部軌跡を求めています)
図中の各色は、それぞれ異なる選手の滑走ラインを示しています。昨年度の分析では、選手ごとのライン取りの特徴が比較的明確に観察されましたが、今回のレースでは大きな違いは見られず、各選手とも類似したライン取りとなっていました。コース上には深い溝が形成されており、選手がその溝を意識して滑走した結果、ラインが類似したものと考えられます。
一方、図の後半部分に見られるラインの違いは、ターンの成否によるものです。外スキーが流れたターンではターンの仕上げが遅れ、滑走ラインが下方および外側へ膨らむ傾向が確認されました(図①)。また、最も手前の青ゲートのターンでは、多くの選手において外スキーが流される状況が観察され(図②)、その影響がラインにも現れていました。
さらに、図中の点線区間について、ビデオ映像(120Hz)を用いて区間タイムを計測しました。滑走ラインはほぼ類似していたものの、区間タイムには選手間で差が見られ、本レースではライン取り以外の要因がタイム差に影響していることが示唆されました。
映像を重ねて比較した結果、ターンの失敗(多くは外スキーの流れ:図中①~③)による減速が確認され、そのスピード差が後半に向かって徐々に拡大する傾向が観察されました。分析対象とした4名の選手では、区間タイムと全体タイムの傾向は概ね一致しており、当該区間でのミスが少ない選手ほどRun全体のタイムも良い結果となっていました。
今回のレースのように雪面の掘れが大きい状況では、ライン取りの戦略そのものよりも、形成されたラインをいかに安定して滑走し、失敗を減らしながらスピードを維持するかが重要であることが示唆されました。
本研究は、公益財団法人ミズノスポーツ振興財団の助成を受けて実施されました。ここに記して御礼申し上げます。
報告:情報・医・科学部 吉岡 伸輔


































