連載12 記録に見る日本のスキー競技史
1923年、日本のスキー競技ははじまった
1954年(昭和29年)
第32回全日本スキー選手権大会
会場:新潟県高田市・名香山村
競技名 | 種目名 | 優勝者 | 所属 | 記録 |
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ジャンプ | 笠谷 昌生 | 明大 | 221.4 | |
ノルディックコンバインド | 藤田武四郎 | 早大 | 440.2 | |
クロスカントリー | 耐久(40km) | 宮尾 辰男 | 日曹二本木 | 3:28.42 |
長距離(15km) | 松橋 高司 | 中電工 | 1:16.44 | |
長距離(女子) | 横山 良子 | 全北城高 | 43.37 | |
リレー(男子) | 秋田営林局 | 3:08.30 | ||
リレー(女子) | 全北城高 | 1:58.32 | ||
アルペン | 滑降(男子) | 杉山 進 | 長野電鉄スキー | 3:26.6 |
滑降(女子) | 岡部 満里 | 会津スキークラブ | 3:15.5 | |
回転(男子) | 杉山 進 | 長野電鉄スキー | 1:41.8 | |
回転(女子) | 林 和子 | 水上スキークラブ | 1:24.3 |
この大会からクロスカントリーに女子種目が採用された。第1回の優勝者は新潟県高田の北城高、横山良子選手だった。ジャンプで優勝した笠谷昌生は、札幌オリンピック(1972年)、70m級ジャンプで日本の冬季オリンピック史上初の金メダリストととなった幸生の実兄である。昌生は長年SAJの理事を務め、ジャンプの発展に尽力した。

滑降、回転の2種目を制した杉山進(スキー年鑑第22号より)

ジャンプで優勝した明大のエース、笠谷昌生(スキー年鑑第22号より)
世界選手権大会派遣選手と成績
ノルディック:ファールン(スウェーデン)
代表選手 | 参加競技と成績 | ||||||
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純飛躍 | 複合 | 距離 | |||||
吉沢 広司 | 46 | 70m/72.5m | |||||
柴野 宏明 | 57 | 65.5m/62m | |||||
石坂 良治 | 61 | 60m/60.5m | 29 | 383.9 | 15km | 103 | 1:07.31 |
藤沢 良一 | 65 | 65m/70m | 24 | 395.7 | 15km | 96 | 1:05.55 |
小西 健吾 | 15km | 33 | 59.29 | ||||
30km | 46 | 2:08.05 | |||||
50km | 33 | 3:36.47 | |||||
角 昭吾 | 15km | 53 | 1:01.13 | ||||
30km | 37 | 2:02.58 | |||||
リレー | 小西・角・藤沢・石坂 | 15 | 2:37.44 |
石坂、藤沢ともジャンプ、ノルディックコンバインド、クロスカントリー3競技にチャレンジ。3競技に出場するということは、連日のように異なる競技を行うため、大変なスタミナが要求された。オリンピックと違って世界選手権はSAJ負担であるため、多くの選手を派遣できなかった当時の事情が垣間見える。
アルペン:オーレ(スウェーデン)
代表選手 | 滑降 | 回転 | 大回転 | 複合 | ||||
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斉藤 貢 | 37 | 2:22.7 | 31 | 2:05.37 | 46 | 2:10.6 | 20 | 42.65 |
茂原博太郎 | 41 | 2:27.7 | 21 | 2:00.10 | 40 | 2:06.9 | 17 | 41.67 |
アルペンが世界選手権に初参加した大会。斉藤貢、茂原博太郎とも当時の日本のアルペン界をリードしていた選手。茂原が記録した回転21位は、初挑戦の当時としては大健闘した成績であった。

世界戦集権大会を前にFIS大会(バドガシュタイン)に出場するアルペン陣。左からコーチの野崎彊、茂原博太郎、斉藤貢。コーチの野崎は、1956年コルティナダッペッツォで行われたオリンピックで猪谷千春が銀メダルを獲得した時の監督である(スキー年鑑第22号より)
1955年(昭和30年)
第33回全日本スキー選手権大会
会場:北海道札幌市・富良野市
競技名 | 種目名 | 優勝者 | 所属 | 記録 |
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ジャンプ | 吉沢 広司 | 花岡鉱山 | 223.6 | |
ノルディックコンバインド | 佐藤 耕一 | 明大 | 446.4 | |
クロスカントリー | 耐久(50km) | 小西 健吾 | 三井砂川 | 3:53.36 |
長距離(15km) | 角 昭吾 | 秋田営林局 | 1:14.53 | |
8km(女子) | 須田 桂子 | 三馬ゴム | 39.54 | |
リレー(男子) | 秋田営林局 | 2:48.20 | ||
リレー(女子) | 全北城高 | 1:17.55 | ||
アルペン | 滑降(男子) | 斉藤 貢 | 早大 | 1:45.0 |
滑降(女子) | 林 和子 | 水上スキークラブ | 1:45.2 | |
回転(男子) | 杉山 進 | 長野電鉄スキー | 2:15.3 | |
回転(女子) | 蛭田 佳子 | 東京スポーツマン | 1:32.8 |
ノルディックは第1会場として札幌(大倉シャンツェ・円山綜合グランド)、第2会場のアルペンは富良野で行われた。ノルディックの閉会式は、札幌市内の「今井百貨店7階のニュース劇場」で行われ、セレモニーの後には出席者全員で万歳三唱が行われた。
ジャンプの吉沢広司は前年に引き続いて連勝し、これで全日本スキー選手権通算3勝目を挙げた。
(本文の敬称略)

耐久(50km)で優勝した三井砂川・小西健吾の、まるで機関車のような力強い走り(スキー年鑑第23号より)

長距離(15km)の覇者、秋田営林局の角昭吾(スキー年鑑第23号より)