競技

2013/01/31

【REPORT スノーボード世界選手権HPストーンハム大会】
コンディション変化の壁

 この度の世界選手権はソチ五輪を翌年に控え、本大会は我々チームにとっても重要な位置付けの試合となりました。優勝と表彰台獲得を目標に掲げA指定青野選手、B指定平岡選手、C指定細川選手と佐藤選手の男子4名の代表を選抜し派遣しました。

 

 会場となったカナダ・ストーンハムは雪が少なく競技施設の準備が遅れている様な状況下で公式トレーニングを迎えました。3日間ある公式トレーニングの最中に最終形が完成した様な状況でありました。その様な状況に加え、風、降雪、寒さと目まぐるしく変化する自然環境にも頭を悩まされるものとなりました。

 

 男子2ヒートに分かれて行われた予選ではヒート1で演技を行った平岡選手が高さを重視した安定した演技を2本とも決めて2位に入り直接決勝へと駒を進め、ヒート1もう1人の細川選手も5位で翌日の準決勝(セミファイナル)へ。ヒート2では青野選手が1本目演技で高さを出したクリーンな演技を行うものの最後の着地でまさかの転倒。2本目の演技で確実に決め、同ヒート2の佐藤選手と共に翌日の準決勝(セミファイナル)へと進出を決めました。

 翌日に行われた準決勝(セミファイナル)と決勝(ファイナル)は降雪の中行われました。時折激しく降る雪の中、コースに雪が溜まり想う様なスピードを出せない状況で各選手演技の構成に苦しんでいる中、青野選手は確実な高さのある演技を魅せ、順調に決勝へと駒を進めました。細川選手、佐藤選手はスピードをのせきれず、本来の演技をできずに準決勝敗退という結果になりました。

 

 出場選手の中で順当に勝ち上がって来た各国の強豪メンバーが揃った中で迎えた決勝(ファイナル)。日本チームからは青野選手と平岡選手の2名が試技1本目から気を迫いた演技を行い高ポジションに位置づけました。勝ちにこだわり更なるポイントの上積みを狙い難易度を上げた演技構成で臨んだ青野選手でしたがバックサイド側での高回転スピンで転倒し演技を完成する事ができず5位入賞という結果になりました。この舞台で試した事、試せた事が今後への大きな収穫となりました。

 

 予選1本目終了時、1位につけた平岡選手でしたが、2本目の演技では難易度をワンランク上げた演技構成で臨み1本目の89.50ptから93.75ptへとポイントを上げ後続の選手達の演技を見守る展開となりました。予選1位で最終滑走者のPodladtchikov選手(SUI)が難易度の高い演技を勝負強く決め、わずか0.5pt差で逆転。結果、平岡選手は2位で本世界選手権を終えました。平岡選手自身にとっても世界選手権大会初出場で初の表彰台を獲得し、今後の活動に自信と弾みをつける事ができました。

 

 青野選手、平岡選手共に悪コンディションの中ひときわ高さを出した演技を行っており彼らの技術力の高さが証明された試合でもありました。今回は米国主力選手の参戦がなかった為、本来の五輪シミュレーションとは行きませんでしたが、獲るべき所で獲れたという実績を今後の糧にして行きたいと思います。

 

 ソチ五輪本番まで約1年となり、各国選手達も五輪を見据えた高レベルの演技内容を組込んできており、我々日本チームとしても五輪でメダルを狙える演技の構築、精度強化を進めていくべく更なるトレーニングを継続していきます。

 

 尋常ではない気象変化の中行われた今回の試合では、試合に向けた準備が非常に難しい中、帯同して頂いたサービスマン、トレーナースタッフのサポートもあり悪コンディションの中でも最善の状況下で試合に臨めた事を感謝いたします。数多くのご声援ありがとうございました。

 

スタート直前の緊張の瞬間

これもスタート前の最終作戦会議

チューニング及びワーックスサービス

ご覧のコンディションの中で決勝が行われた

その中でみごと平岡選手が銀メダルを獲得した

クロージングセレモニー

今大会を戦い抜いたHPチーム

 

報告/ハーフパイプコーチ 治部 忠重