競技

2015/11/02

【REPORT スキージャンプ】第94回全日本スキー選手権大会
作山選手、GP総合優勝裏付ける逆転V

 今シーズンから、トップ選手が出場できるようワールドカップ前に開催されることになった全日本スキー選手権大会ジャンプ競技は、10月31日、11月1日、北海道札幌市の大倉山ジャンプ競技場及び宮の森ジャンプ競技場で開催された。

 

 10月31日に行われたノーマルヒルは、男子が25歳の伊藤謙司郎選手(雪印メグミルクスキー部)が1本目に93.5メートルを飛んで3位につけ、2本目も他の選手が飛距離を伸ばせない中、85.メートルにまとめて初優勝。葛西紀明選手(土屋ホームスキー部)らトップ選手が全員出場している大会で優勝できたことに伊藤選手は「ここで勝てたのは大きな自信になる」と全日本スキー選手権大会制覇に手放しで喜んでいた。

 伊藤選手は2006年のトリノオリンピックに16歳で出場した期待の星だった。しかし、その後伸び悩み、若い選手に次々追い抜かれていた。5月に結婚し、「生活面を含めて守るべきものができたのが大きい」と語る伊藤選手。この優勝が復活のきっかけになるか、今季の戦いが注目される。

 女子は、髙梨沙羅選手(クラレ)が圧巻のジャンプを披露、2位に60.5点、飛距離にして30メートル以上という、ぶっちぎりの大差をつけて4シーズンぶりの日本一となった。1本目92メートル、2本目90メートルとただ一人K点越えを揃え、ワールドカップ本番へ向けてこれ以上ないという仕上がりぶりだった。

 昨シーズンはワールドカップ3連覇を逃がしたが、これで「これでスムーズにシーズンインできる。とくにアイストラックでの試合だったので違和感なく冬の大会に入れる」と納得の表情を見せていた髙梨選手。夏に行われたFISグランプリは5戦5勝、3度目のワールドカップ総合優勝は、かなり高い確率で達成しそうだ。

 髙梨選手は、翌日のNHK杯(ラージヒル)でもただひとり130メートル越えジャンプを連発して2位に100点以上の大差をつけた。

 翌日に行われたラージヒル(男子のみ)は、FISグランプリで初の総合優勝を果たした作山憲斗選手(北野建設スキークラブ)が、3位から逆転で優勝を飾り、グランプリ総合優勝がフロックでないことを証明した。作山選手は、「狙っていた大会なのでほんとうにうれしい」とトップ選手を抑えての優勝に喜びいっぱいの表情だった。まだ経験のないワールドカップのひと桁入賞も見える位置に前進したことを実感する25歳。ジャパンスキーチームの秘密兵器として

 葛西選手が2位、今年から社会人となった小林陵侑選手(土屋ホームスキー部)が3位と健闘した。

 

 

全日本スキー選手権大会ノーマルヒル(HS-100 宮の森)

男子

順位 選手名 所属 1本目 2本目 飛型点 合計
1 伊藤 謙司郎 雪印メグミルク 93.5m/67.0 85.0m/50.0 54.5/51.0 222.5
2 竹内 択 北野建設SC 95.0m/70.0 82.5m/45.0 53.0/51.0 219.0
3 作山 憲斗 北野建設SC 90.5m/61.0 86.0m/52.0 53.5/51.5 218.0
4 佐藤 幸椰 雪印メグミルク 91.5m/63.0 84.0m/48.0 53.5/51.0 215.5
4 小林 陵侑 土屋ホーム 88.0m/56.0 88.0m/56.0 51.0/52.5 215.5
6 栃本 翔平 雪印メグミルク 93.0m/66.0 82.0m/44.0 54.5/50.0 214.5

女子

順位 選手名 所属 1本目 2本目 飛型点 合計
1 髙梨 沙羅 クラレ 92.0m/64.0 90.0m/60.0 54.0/53.5 231.5
2 岩渕 香里 松本大学 74.0m/28.0 83.5m/47.0 47.5/48.5 171.0
3 伊藤 有希 土屋ホーム 78.5m/37.0 76.0m/32.0 50.5/49.5 169.0
4 勢藤 優花 北海道メディカル 75.5m/31.0 74.0m/28.0 49.5/48.5 157.0
5 松橋 亜希 マンマーフーズ 71.0m/22.0 71.0m/22.0 46.0/48.0 138.0
6 澤谷 夏花 札幌大学SC 70.5m/21.0 70.0m/20.0 48.0/48.0 137.0

ラージヒル(HS-134 大倉山)

男子

順位 選手名 所属 1本目 2本目 飛型点 合計
1 作山 憲斗 北野建設SC 127.5m/73.5 126.0m/70.8 55.5/55.0 254.8
2 葛西 紀明 土屋ホーム 128.5m/75.3 122.5m/64.5 56.5/55.5 251.8
3 小林 陵侑 土屋ホーム 131.5m/80.7 121.0m/61.8 54.0/54.0 250.5
4 竹内 択 北野建設SC 124.0m/67.2 126.0m/70.8 54.0/55.0 247.0
5 伊藤 謙司郎 雪印メグミルク 124.0m/67.2 122.0m/63.6 55.0/54.0 239.8
6 栃本 翔平 雪印メグミルク 119.5m/59.1 125.0m/69.0 54.0/55.0 237.1
 

ノーマルヒルでみごと優勝を飾った伊藤謙司郎選手。左は2位の竹内選手、右は3位の作山選手

髙梨選手が貫録の圧勝。左は2位の岩渕選手、右は3位の伊藤選手

ラージヒルで作山選手が2本目に逆転優勝を飾った。グランプリの総合優勝と合わせ、今季はブレークの予感がする

ラージヒルの表彰台。トップ選手が出場する中で頂点に立った作山選手。左は葛西、右は大健闘の3位小林陵侑選手

ラージヒルで行われたNHK杯で異次元のジャンプを見せた髙梨選手。2本とも130メートル越えのジャンプは圧巻だった