競技
2017/01/30【REPORT スキージャンプ】難産の末の50勝
髙梨沙羅、輝き再び
ワールドカップ日本大会まで6戦5勝、3位1回とまさに快進撃。札幌、蔵王と組まれた4戦で「50勝」は、簡単にクリアすると思っていた。それが、4戦で優勝なしという信じなられない結果に誰もが声を失った。
あの伝説の鳥人、アホネンも、ジャンプの最多勝利数を誇るシュリーレンツァウアーもばったり勝てなくなったことがある。これは頂点に立っている者だけの心の葛藤であり、高いレベルでの悩みで一過性の“不調”でしかない。
そんな髙梨沙羅選手(クラレ)が舞台をルーマニアのルシュノブに移した28日の第11戦。2本目にいい感じのジャンプで98メートルを飛び、優勝できなかったものの絶好調のマーレン・ルンビー(ノルウェー)に9.2ポイント差の2位と立て直してきた。
迎えた第12戦、目まぐるしく変わる風に苦しむ中、髙梨選手は1本目96メートルでルンビーに次ぐ2番手につけ、2本目に臨んだ。
風が追い風、強い向かい風と荒れて待たされたことで、不安な気持ちを増幅された。スタートの合図が出た時は不利な追い風の時だった。テレビ観戦していた人も「またか?」と思った人も多かったと思うが、ここで髙梨選手はイエロービブの意地を見せてくれた。風邪で揺れる上体を必死で抑えてスキーを引っ張る。K点ラインすれすれでさらに我慢して97.5メートルまで飛距離を伸ばした。そして1本目首位のルンビーを待つ。
絶好調のルンビーだが、めまぐるしく変わる風にややナーバスになっているように感じた。シグナルが青になった瞬間にあわててスタートしように見えた。あせりからか、あわてた様子のルンビーは札幌、蔵王で見せた粘りがなく93メートルでストーンと落ちてしまった。この瞬間、苦しんだ末での50勝が達成された。
「ここへ(ルシュノブ)へ来て最後のジャンプが一番良かった。やっと50勝目が挙げられてホッとしている。支えてくれた皆さん、応援してくれたファンの皆さんに感謝したい」と満面笑顔で一気に語った髙梨選手。
苦しんだ末の優勝、そして50勝目の快挙達成。シュリーレンツァウアー(オーストリア)の持つジャンプの通算勝利53勝へ向けて再び強い髙梨選手が走り出した。
髙梨選手50勝の軌跡
Year |
Site |
Year |
Site |
||
1 | 2012 | 蔵王(日本)② | 26 |
|
札幌(日本)② |
2 |
2013 |
リレハンメル(ノルウェー) | 27 | ラスノフ(ルーマニア)① | |
3 | ラムソウ(オーストリア) | 28 | ラスノフ(ルーマニア)② | ||
4 | ショナッハ(ドイツ)① | 29 | ラスノフ(ルーマニア)② | ||
5 | ヒンターツァルテン(ドイツ)② | 30 | オスロ(ノルウェー) | ||
6 | 蔵王(日本)① | 31 |
2016 |
リレハンメル(ノルウェー) | |
7 | 蔵王(日本)② | 32 | ニズニー・タジル(ロシア)② | ||
8 | リュブノ(スロヴェニア)① | 33 | 札幌(日本)① | ||
9 | リュブノ(スロヴェニア)② Total-1 | 34 | 札幌(日本)② | ||
10 |
2014 |
リレハンメル(ノルウェー) | 35 | 蔵王(日本)① | |
11 | ヒンターツァルテン(ドイツ)① | 36 | 蔵王(日本)② | ||
12 | ヒンターツァルテン(ドイツ)② | 37 | オーベルストドルフ(ドイツ)① | ||
13 | チャイコフスキー(ロシア)① | 38 | オーベルストドルフ(ドイツ)② | ||
14 | 札幌(日本)① | 39 | オスロ(ノルウェー) | ||
15 | 札幌(日本)② | 40 | ヒンツェンバッハ(オーストリア)① | ||
16 | 蔵王(日本)① | 41 | ヒンツェンバッハ(オーストリア)② | ||
17 | 蔵王(日本)② | 42 | ラハティ(フィンランド) | ||
18 | ヒンツェンバッハ(オーストリア)① | 43 | アルマトイ(カザフスタン)① | ||
19 | ヒンツェンバッハ(オーストリア)② | 44 | アルマトイ(カザフスタン)② Total-1 | ||
20 | ラスノフ(ルーマニア)① | 45 |
2017 |
リレハンメル(ノルウェー)① | |
21 | ラスノフ(ルーマニア)② | 46 | リレハンメル(ノルウェー)② | ||
22 | オスロ(ノルウェー) | 47 | ニズニー・タジル(ロシア)② | ||
23 | ファルン(スウェーデン) | 48 | オーベルストドルフ(ドイツ)① | ||
24 | プラニッツァ(スロヴェニア) Total-1 | 49 | オーベルストドルフ(ドイツ)② | ||
25 | 2015 | 札幌(日本)① | 50 | ラスノフ(ルーマニア)② |
注) 2015年のラスノフ(ルーマニア)は2大会4戦開催されているため第2戦が2つあります。
◆2017シーズンの残りゲーム
2/15-16 平昌(韓国)HS-109×2
3/11 オスロ(ノルウェー) HS-134(Final)