競技
2018/01/09【REPORT 第2次フリースタイル競技モーグル種目
タレント発掘育成事業遠征】
これまでの合宿の積み重ねをシーズンに
2017年11月27日から12月19日まで、カナダ・エイペックススキー場において、第2次フリースタイル競技モーグル種目タレント発掘育成事業遠征が開催され、選手4名が参加しました。今回の合宿の目的は3つありました。
①ひとつは雪上にてスキー技術、モーグル技術を洗練させること。
②ふたつ目はコンディショニングに関わる事柄を実践すること。具体的にはこれまで学び戦略を立ててきた技術練習と体力トレーニングのバランスの取り方、疲労を残さないためのケアです。
③そして3つ目は試合に向けてのコンディショニングの実践。具体的にはFISレースに参戦し、試合のための戦略を実際に試し、洗練させることでした。
まずひとつ目のスキー技術を洗練させるために、新井、伊藤両コーチのもと、3日練習して1日オフというサイクルで、雪上トレーニングを行いました。ここエイペックススキー場は、シーズンの早い時期からモーグルコースが設営されているため、基礎となる整地でのスキートレーニングだけでなく、コブを使っての実践練習ができるのが魅力です。
時差調整も兼ねた足慣らしとして整地でのトレーニングから始め、徐々にモーグルコースでのトレーニング時間を長くし、トレーニング強度を高めていきました。密度を濃く、集中したトレーニングとなるよう1本1本のランを振り返り、より良くなるよう常に課題を確認しながら行いました。また、このトレーニングの時期に行うべき、ポジティブなチャレンジを何よりも重視して行いました。さらに宿舎で選手は自分のランを練習ノートやビデオセッションを通して振り返り、日々自分の滑りを見つめ直し、スキー技術を洗練させていくことができました。
ふたつ目のコンディショニングに関わる事柄の実践ですが、田畑トレーナーによるトレーニングとセルフケア指導、そして直接のケアにより、技術を上げながら、体力も高める方法を実践していきました。これまで試合期になるとフィジカルトレーニングが後回しになり、シーズンが終わると体力が低下している傾向にありました。しかし選手はこれまでの講義から、やり方次第で体力が高められること、そして疲労をその日のうちに解消する方法を、理論で伝授されています。あとは実践のみです。
そこで基本となるアップとダウンを正しい方法で入念に行い、そして技術トレーニング後は、心拍計を用いての有酸素運動、自重やペア、そしてセラバンドを用いた筋力トレーニングなどを行い、持久力と筋力の維持、強化に努めました。さらには、コンドミニアムに滞在し食事が全て自炊だったことで、食べ慣れたもの、低脂肪高タンパクの健康的な食事をとることができました。おかげでコンディションを、さらによく保つことができました。
この食事作りでは、特に新井コーチの心のこもった食事サポートや、バランスの良い献立をたて実践したことが大きかったです。自炊は作る手間や時間が取られ負担になる部分もありますが、選手スタッフが一緒に助け合うことでコミュニケーションが取れ、そして自分で食事を作る習慣作りに役立ちます。そして、さらに管理栄養士の松井さんと連絡を取り、食事のメニューや内容を検討しながら進められたことも良い結果を生んだと思われます。
最後、3つ目の試合でのコンディショニングの実践では、それぞれ体のコンディショニングのためのトレーニング負荷、栄養、休養、ケアなど、バランスを考えながら実践しました。自分でできることは自分で、そして出来ない部分はコーチやトレーナーの力を借り、これまで学んできたことを試しました。
そして試合に向けての心理のコンディショニングは、11月の合宿で心理の吉田先生と各々が立てた戦略を試しました。試合ではベストのパフォーマンスを引き出せた選手もいましたが、残念ながら今回は結果に結びつけることのできなかった選手もいました。ただこの3週間、試合に向けて自分の体と向き合い、真摯にトレーニングに取り組み、様々なことに勇敢にチャレンジしたその姿勢は、今後の滑りにつながるものでした。これからいよいよ本格的に始まるシーズンに向け良い準備ができ、実りの多い遠征となりました。
フリースタイル競技モーグル種目タレント発掘育成事業は、スポーツ振興くじの助成を受けて実施しています。今年度は3月まで、国内合宿5回、海外遠征が3回、予定されています。本事業は「Learn to compete」という 「国際競技会で競うことを学ぶ年代」に必要な心・技・体・智を獲得すること、そしてアスリートとして、ひとりの人として豊かな人間性を獲得することを目指し、今後も選手に様々な刺激を与えていきます。
文責:フリースタイル部ヘッドコーチ 斗澤 由香子