競技

2020/03/18

【REPORT 第2回~第4回スノーボード(アルペン)合宿】
競技別強化拠点から世界へ

★第2回スノーボード(アルペン)合宿

 今シーズンより競技別強化拠点(※1)に指定された菅平パインビークスキー場にて、令和2年1月6日〜9日、今シーズン初めての国内強化チーム(※2)、国内強化指定選手(※3)による第2回国内拠点合宿(第1回目は中止)が行われました。

 

01

パラレルセットによる滑走トレーニング

 

※1:競技別国内強化拠点とは、我が国の国際競技力向上のためのナショナルトレーニングセンターで、3種目(オリンピック競技:アルペンスキー、スノーボードアルペン、パラリンピック競技:アルペン)合同の強化拠点。スノーボードアルペンにおいては、世界で戦う強化指定選手が調整し、U指定選手、国内強化選手がトレーニングを行う場所。
※2:世界で活躍する選手(世界大会での表彰台)の育成強化を目的に、A、U指定選手を目指し、ジュニア世界選手権大会でのメダル獲得(ジュニア選手において)を目標とする。
※3:世界大会での活躍を目標とし、国内強化拠点を活用してトレーニングを積み、強化指定選手を目指す選手。

 

●合宿の主な目的(テーマ):
始動、学び、映像フィードバックシステムを活用した滑走トレーニング

●実施内容:
【1月7日】
AM/フリーライディング、GS、PM/PGS、フィジカル・コンディショニングトレーニング、夜/座学(チームMTG、ICRルール学習、グループディスカッション・振り返り、規約規定集学習、世界レベルを目指すための心構え)

【1月8日】
AM/座学(雨天のため、ビデオによるクリニック、滑走(ライン、ターン)原理、成長・学びを促すためには)、PM/ GS、フィジカル・コンディショニングトレーニング(mobility、Stability)、夜/座学(ICRルール学習、グループディスカッション・振り返り)

【1月9日】
AM/GS、PM/GS、振り返り、解散

●参加選手:6名(男1名、女5名)

 

02

JISSによる映像即時フィードバックシステムにてライディングチェックを行う選手たち(スタートにて滑り終えた自身の滑りをチェック)

 

 国内強化拠点新設後、初の国内強化合宿が行われ、強化指定選手へのステップアップ、およびジュニア世界選手権大会での表彰台という目標に向けて、若手選手の育成事業がスタートしました。

 暖冬による小雪の中の開催だったが、スキー場および関係各位の協力のもと、コースを専有使用させていただき、安全にトレーニングを行えたことに感謝いたします。コンディションは、初日は晴れて締まったバーン、2日目は雨&高い気温、午後からは雨あがりの緩んだバーン、3日目は晴れてアイスバーンという状態でした。

 

03

選手によるゲートセッティング(トレーニング環境を整える労力、およびラインを学ぶ)

04

パラレル滑走による競い合い

 

 今回は、アスリートとしての基礎である、コンディショニング・ウォーミングアップ・クールダウン、ルールの理解、考えて滑ること、ライン、JISS(国立スポーツ科学センター)による映像フィードバックシステムの活用講習を行いました。仲間との雪上トレーニングによる学びはもとより、グループディスカッションによる自らの振り返り、仲間の考えていることのシェアによる気づき、およびシーズン終了後に本合宿で実践したことの大切さに気づくためのインプットができた選手は、今後につながる成果を得ることができたのではないかと考えます。

 

05

コンディショニングトレーニング(Mobility、Stabilityについて学ぶ)

 

 今後の課題としては、まずは日々の積み重ねとなるためのトレーニングの習慣化です。好きなトレーニングを優先して行うのではなく、嫌いなものでも勝つため・目標達成のために必要なトレーニングを優先して行い継続する。そして、合宿のための合宿、練習のための合宿とならず、パフォーマンス向上および発揮のための合宿とする。そのために、準備をしっかりと行い、練習の1本1本や時間を大切に使うための工夫と努力をもっとすることが必要であると考えます。

 

 

 

★第3回スノーボード(アルペン)合宿

 令和2年2月17日〜19日、菅平パインビークスキー場にて、今季2度目の国内強化指定選手による合宿が行われました。

 

06

PGSトレーニングでの競い合い

 

 

合宿の主な目的(テーマ):
グッドパフォーマンスの発揮、競い合い

●実施内容:

【2月17日~18日】
AM/PGS、PM/フィジカル・コンディショニングトレーニング、夜/座学(ICRルール学習、グループディスカッション・振り返り、ビデオによるクリニック、規約規定集学習)

【2月19日】
AM/PGS、振り返り、解散

●参加選手:8名(男4名、女4名)

 コンディションは、初日は晴れて締まったバーンから春雪への変化、2日目は雪時々曇り・ややソフトスノー、3日目は晴れてパックスノーという状態でした。

 

スプリングスノーでの滑走トレーニング

 

 今回は、前回同様にアスリートとしての基礎である、コンディショニング・ウォーミングアップ・クールダウン、ルールの理解、考えて滑ること、ライン、JISSによる映像フィードバックシステムの活用講習を行いました。新たなテーマとしては、グッドパフォーマンスを発揮するための術を学ぶこと、およびパラレル滑走による対戦形式での競い合いを行いました。加えて、即時映像フィードバックシステムおよびタイム計測を活用し、ライディング1本1本に集中するトレーニングを行いました。その結果、自己分析能力、修正能力および集中力の向上を行えたことが成果として得られたと感じました。

 また、参加した合計8名(継続2名、新規6名)のうちの継続参加の選手は、前合宿で学んだことをベースに継続的なトレーニングを行えました。新規参加の選手は、滑走ライン、コンディショニングおよびフィジカルトレーニングの重要性を学ぶことができたと感じました。

 

08

最速ラインの探究(ラインの決定要素の一つであるターンピークの位置を検証)

09

映像即時フィードバックシステムにてライディングチェック(フィニッシュにて滑り終えた自身の滑りをチェック)

 

 前合宿に続き、日々の積み重ねとなるためのトレーニングの習慣化、および勝つため・目標達成のために必要なトレーニングを優先して継続することが課題です。合宿2日目にスネやハムスト痛のため見学する選手が数名いました。コンディショニングについて、シーズン全般を通してはもとより、合宿期間中の練習に耐えられるだけのコンディショニング管理や体力維持が求められます。練習のための合宿とならず、パフォーマンスの向上および発揮のための合宿とすること。そのために準備をしっかりと行い、練習の1本1本や時間を大切に使うための工夫と努力をさらに行うことが求められていることに気づくことを期待します。

 

 

★第4回スノーボード(アルペン)合宿

 令和2年2月26日〜27日、菅平パインビークスキー場にて、国内強化指定選手による合宿が行われました。

 

10

拠点専有コースでのPGSトレーニング

 

●合宿の主な目的(テーマ):
競い合い、調整

●実施内容:
【2月26日】AM/SL、PM/フィジカル・コンディショニングトレーニング、夜/座学(ICRルール学習、グループディスカッション・振り返り、ビデオによるクリニック、規約規定集学習)

【2月27日】AM/PGS、PM/フィジカルトレーニング、解散

●参加選手:8名(男3名、女5名)

 コンディションは、初日、2日目ともに曇り時々雪・ややソフトスノーという状態でした。

 

11

コアトレーニング(体感を安定させ、機能的な四肢の動かし方を学ぶ)

12

コンディショニングトレーニング(SAQ:キレのある身体の動き)

 

 前合宿に続き、アスリートとしての基礎である、コンディショニング・ウォーミングアップ・クールダウン、ルールの理解、考えて滑ることに加えて、全日本選手権への調整を主なテーマとして実施しました。1日目、2日目ともに降雪の中でのトレーニングとなりましたが、その結果、変化する雪面状況へ対応する能力および、天候不良の中での集中力の維持、および自身の対応能力の現状についての気づきや学びを得られたことが成果であると感じました。

 

13

グループディスカッション(合宿での目的・目標・得たい成果に対して、日々を振り返る)

14

ビデオによるクリニック

 

 前合宿にて行った、パフォーマンス向上および発揮のための合宿とするために、準備をしっかりと行い、練習の1本1本や時間を大切に使うための工夫と努力を行うことが引き続き課題であると感じました。特に、シーズン中は連続して滑る機会が多くなるため、コンディショニング管理において、有酸素運動をしっかりと行い、疲労を残さないことが大切と考えます。
 今回参加した中で、パワーを使って滑っていた選手は、コンディショニングの重要性を認識し、有酸素運動を多く行なっていました。有酸素運動が少ないか、行っていない選手には、滑りの質を上げることでコンディショニングの必要を感じ実践すること、または、滑りの質を上げるためにはコンディショニングが必要であると認識するという両側面からのアプローチにて、コンディショニングを習慣づけ、当たり前に行えるよう育成していくことが必要であると感じました。

 追記:2日目の午後に連絡を受けたSAJからの通達に従い(コロナウィルス感染対策)、合宿を中止して解散した。

 

 

報告/スノーボード・アルペン国内強化コーチ 佐々木 耕司