競技

2021/02/15

【REPORT 第3次スノーボード(HP)遠征/
第2次スノーボード競技(HP)タレント発掘育成事業遠征】結果と成長

 

LAAX OPEN~トレーニング

 第3次スノーボード(ハーフパイプ)遠征第2次スノーボード競技(ハーフパイプ)タレント発掘育成事業遠征を2021年1月15日から2月9日で行いました。

 今回の遠征の目的としてはワールドカップ初戦に参戦し、表彰台を男女合わせて3つ獲得することを第一の目標とし、第二の目標としてワールドカップ初出場の重野秀一郎選手(バートン)と鍛治茉音選手(TJR)の決勝進出と、1年ぶりの復帰戦となる片山來夢選手(バートン)と穴井一光選手(株式会社玉越スノースポーツクラブ)、冨田せな選手(チームアルビレックス新潟)の決勝進出を掲げ、今回のワールドカップに臨みました。

 

 

遠征参加メンバー

toto

タレント発掘育成事業遠征のメンバー

 

 

 初戦のワールドカップはスイス・ラークスで行われ、世界最高峰とも言われるハーフパイプでのワールドカップでした。公式トレーニングから天候に恵まれ、選手たちの準備はほぼ完璧と言って良いほどに仕上げることができました。

 迎えた1月21日予選当日、天候は曇りでした。女子からスタートで1本目から激戦となりました。結果は、小野光希選手(バートン)が2位、冨田せな選手が4位、松本遥奈選手(クルーズ)が6位で決勝に進出しました。惜しくも予選で敗退してしまいましたが、今井胡桃選手(プリオHDスキー部)が7位、冨田るき選手(チームJWSC)が8位、鍛冶選手が11位という成績を残しました。

 続いて男子。男子は人数が多かったため、ヒート1とヒート2に分かれて予選が行われました。日本チームはヒート2に全員が固まってしまい、予選から日本人対決が繰り広げられました。ヒート2内の結果は、戸塚優斗選手(ヨネックス)が1位、平野流佳選手(太成学院大学スキー部)が4位、片山選手が5位で決勝進出を決めました。惜しくも予選で敗退してしまいましたが、平野海祝選手(開志国際高校)が15位、重野選手が32位、穴井選手が33位という結果となりました。

 

 

ファイナリスト

 

 

 そしてラークスオープンの醍醐味でもあるナイター決勝当日。天候良し、選手の公式トレーニングのフィーリングも良く、迎えた決勝戦。女子、男子の順で2本のベストランのルールの中、1本目から見事な滑りをした小野選手が2位、冨田せな選手が3位、F1080を繋いだ松本選手が4位と好成績を残しました。

 

ナイトファイナルのハーフパイプ

小野光希選手

女子表彰

 

 

 男子は、世界初のFW1440-CABW1260-SBW1080-BW1260-FW1260を繋いだ戸塚選手が圧巻の優勝、平野流佳選手もSBW1080を1ヒット目に持って来たルーティンを見事に繋ぎ3位、復帰戦の片山選手が10位という世界のスノーボード・ハーフパイプの歴史に残る試合となりました。

 このような状況下で女子強豪国(中国)がワールドカップに参戦できなかったとはいえ、全選手共通して最後の最後まで勝つことを諦めず、自分の限界を超えた滑りでとても成長した初戦になりました。

 

 

男子表彰

平野流佳選手

 

 

 1月24日を区切りとし、スイス・ラークスに残る練習組と、招待制のX-Gamesに参戦する組とに分かれて遠征を引き継ぐことになりました。

 ラークスで練習をするチームは、大会での反省点を強化していくプランを立てました。後半戦は天候が雪続きでなかなか練習ができない中でも、日々進歩を目標に個々でトレーニングを積み重ねました。

 天候も恵まれないままでしたが、最終日のみ晴天に恵まれ良い練習をすることができました。練習内容に満足した選手も満足できなかった選手も、今回の練習したことをプラスに次の遠征では目標達成できるように頑張ってもらいたいと思います。

 

 

青野コーチによるコーチング

前田トレーナーによるハイパフォーマンスサポート

日本チームメダリスト

 

 

 今回の遠征を経て、選手たちの前向きな気持ちに心を打たれました。悪天候でもその状況を生かしどんな練習ができるのかを考えて、それを行動に移す。晴天だけが練習じゃなく、天候が悪くて視界がなくても、吹雪でも、環境や状況に合わせて練習する姿は、まさに日本のレベルをどんどん引き上げる手本のような姿でした。

 

 

報告/スノーボード・ハーフパイプ技術コーチ 青野 令

 

 

X-Games

 ラークスでのワールドカップ参戦直後にX-Games参戦の選手たちとスイスからアメリカへと渡り、2021年1月24日〜1月31日の日程でX-Gamesの視察とサポート、2月1日〜2月9日の期間でカッパーマウンテンでのトレーニングを行いました。本遠征には、第3次スノーボード(ハーフパイプ)遠征より戸塚選手、平野流佳選手、今井選手、第2次スノーボード競技(ハーフパイプ)タレント発掘育成事業遠征より冨田るき選手、松本選手の5名が参加しました。

 

 

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X-Games参戦選手

 

 

 X-Gamesはコロナウイルス感染拡大の影響で無観客試合となり、大会期間中PCR検査が2回も実施されるなど、いつもと異なる状況で大会が開催されました。

 現場の状況は練習時・大会時のスノーモービルによる搬送が行われるのに加え、ハーフパイプ公式練習は夕方から2時間半のトレーニングで毎日15本以上練習ができる充実した環境でトレーニングを積むことができました。練習終了後は、内田トレーナーによって身体のコンディションを整えてもらい、毎日万全の状態でトレーニングに臨むことができました。

 

 

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強化スタッフによる選手サポート

トレーナーによるサポート

 

 

 女子の決勝は1月30日に開催され、大会ルールは30分のジャムセッションで1人4本滑走のうちベストランを採用というルールで開催されました。結果は、松本選手がF1080を入れるルーティンを組み合わせ、見事2年連続3位という結果を獲得しました。今井選手は4位、冨田るき選手が6位という結果でしたが、2人とも自分ができる最大限の滑りを魅せることができました。

 

 

女子3位の松本遥奈選手

 

 

 男子は1月31日に大会が開催されルールは女子と同じ内容で行われました。結果は戸塚選手が3本目のランでFW1440、CABW1260、SBW1080、BW1260、FW1260の演技を完璧に決めトップに立ち、4本目では練習でも決めたことがないトゥイーク、FW1440、CABW1440、FW1260、BW1260の演技も決め圧倒的な内容で他の選手を制し、念願のX-Games初優勝することができました。平野流佳選手も、SBW1080、BW1260、FW1080、CABW1080、FW1260の演技を完璧に決め、初出場にして3位の結果を獲得しました。X-Gamesでも男女とも満足行く結果を残すことができたと思います。

 

 

男子表彰台

カッパーマウンテン

 

 

 X-Games終了後は場所をカッパーマウンテンに移し、1週間と短い期間でしたが雪上トレーニングに励みました。天候が悪い日が続き、まともにトレーニングできたのは3日間でしたが、その中でも選手達は自分の課題を見つけ次の大会に向けてのトレーニングに励んでいました。

 

 

報告/スノーボード・ハーフパイプ コーチ 村上 大輔

 

 

 

第2次スノーボード競技(ハーフパイプ)タレント発掘育成事業遠征
選手コメント

松本遥奈選手
「今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、大会がキャンセルになったり、場所が変更になったりと、流動的なシーズンとなりました。今回の遠征、大会では、まず自分の滑りをすることを一番の目標として参加しました。スノーボードを楽しむ気持ちを忘れずに、今自分ができる最高の滑りを大会でできるよう頑張りました。しかし、練習でできていた自分の滑りを大会ですることができず、良い結果を残すことができませんでした。今後は技の完成度や、できなかった部分を改善していきたいです。」

toto松本遥奈選手

 

 

冨田るき選手
「今回の遠征では新しい技を大会で出すことを目標にしていました。ワールドカップLAAX OPENでは、去年と同じルーティンで滑りきることができず、決勝にも上がれなかったのでとても悔しかったです。X-Gamesでは、パイプに合わせきることができずにベストランをすることができませんでしたが、新しい技に挑戦しメイクすることができました。今後は、大会に向けて気持ちを整えること、苦手な技を克服してベストランを出すこと、すべてのヒットの高さを上げていくことを目標に頑張ります。」

toto 冨田るき選手

 

 

平野海祝選手
「今回のLAAX OPENでは、決勝に進出して自分の武器である一発目の高さのあるバックサイドトゥイークとアメリカで覚えたフロントサイドダブルコーク1260とバックサイドダブルコーク1260のコンビネーションをつなげることが目標でした。トレーニングでの目標はフロントサイドダブルコーク1260の完成度を高めてフロントサイドダブルコーク1260とバックサイドダブルコーク1260をコンビネーションでつなげることと、フロントサイドダブルコーク1440に挑戦することでした。大会では予選でバックサイドダブルコーク1260の着地がずれてしまい点数が伸びなくて予選敗退となりましたが、一発目のバックサイドトゥイークは今までで1番高く飛べてスタイルも出せたのですごくよかったです。トレーニングは自分の苦手なフロントサイドスピンを天気の悪い時も基礎から練習していたので、目標にしていたフロントサイドダブルコーク1260の完成度を上げることができ、フロントサイドダブルコーク1260からバックサイドダブルコーク1260のコンビネーションをメイクすることができました。また、フロントサイドダブルコーク1440にもチャレンジできました。今後の課題は基礎を忘れずにしっかり行い、技一つ一つの完成度を上げて大会では失敗のないように練習したいです。また、普段の生活でも自分の動画を見返したりしてどこが悪かったのか、どこが良かったのかなどしっかり考えてイメージ力をもっとつけて今後も練習に取り組みたいと思います。」

toto平野海祝選手

 

 

重野秀一郎選手
「今回のスイス遠征ではワールドカップの決勝進出、練習ではスイッチとバックサイドの強化を目標にしていました。決勝進出のために12月のアメリカ遠征でキャブダブル1080を習得しました。しかし、予選のフロント1440で転倒して決めきれなかったことから決勝進出はできませんでした。その後の練習では、バックサイドはまだ上手くいく方法が見つからなかったのですが、前よりは立ちやすくなりスイッチはスイッチバックサイドファイブからキャブ1080を繋ぐことができ、まだ高さは低いけれど感覚は掴めたので良かったです。自分の今後の課題としてフロントサイド1080からキャブ1080を繋げるのに高さやグラブなどを考えた時に自信がなく、フロントサイド1440にこだわってしまって2本ともそこでミスしてしまいました。次回からはフロントサイド1080からキャブの1080の高さを出せるようにし、完成度の高いランをしていきたいです。また、今回初めてやって感覚を掴めたスイッチバックサイド540をスイッチバックサイド900にできるように何回も回数を重ねて行きたいと思います。」

toto重野秀一郎選手

 

 

鍛治茉音選手
「今回のワールドカップLAAX OPENでは、規則正しい生活をすることができたので良いコンディションで練習と大会に臨むことができました。規則正しい生活、食事をすることで疲れが取れ、朝の目覚めもよく練習に集中することができたと思います。そして、遠征前にエアとスピンの高さ、スタイルを出してルーティンを構成することを目標として取り組みました。公式トレーニングで初めて滑るハーフパイプだったので、合わせるのに時間がかかり少し焦りの中での大会前の練習になっていました。そんな焦りと不安の練習の中、コーチやトレーナーさんが私のことをしっかり考え、支えてくれたので大会が始まる時には不安要素もなくなり初めてのワールドカップを楽しむことができました。結果は11位という形で終わってしまったけれど、目標としていた高さとスタイルは出せたので良かったです。そして、今回初めてのワールドカップで沢山のことを学び、経験しました。初めて滑るパイプでもすぐに合わせ、自分の持っている技をいつでも最高な状態で出せるようにシーズン中はもちろんオフシーズンにも準備して、自分の苦手なことにも挑戦していきたいと思います。また、自分が頑張っている間に周りの選手も頑張っていて、追いつき追い越すことはすごく難しく大変なことだと実感しました。これからも、今まで以上に努力し技に磨きをかけていきたいです。」

toto鍛治茉音選手

 

 

報告/スノーボード・ハーフパイプ ジュニアチーム 深澤 健悟

 

 

Beyond Olympics

 このコロナ禍で世の中が大変な中においても、大会を開催していただいた大会関係者やサポートスタッフ、スキー連盟、スポンサーからのご支援を受けながらこのように活動ができていること、その有り難みを実感しております。本遠征が怪我なく、準備してきたことが出せて大きな成果を得られたことにほっとしております。多くのご支援、応援に心より感謝いたします。

 北京オリンピックまで1年。選手たちは先の目標に向けて必死に取り組んでおります。目標の先にある目的を見据えて、しっかりと準備していきたいと思います。Beyond Olympics

 

サポートスタッフ

 

 

SB HP TEAM一同