競技

2021/02/19

【REPORT 第10回アルペン合宿】
世界で勝つための「テーマ」を持ったキャンプ

 2月5日から2月8にかけて、競技別強化拠点である菅平パインビークスキー場にてU16の国内強化指定選手を対象とした合宿を実施しました。事前にコースに散水していただき、ハードコンディションを作った中で実施することができました。
 日本国内ではなかなか経験できないほどのバーンに仕上げていただいたことで、今までの「曲がる」というスキー感では完走もままならないという現実を選手たちは初日に感じることができたと思います。動きを止めず自ら仕掛け、板を「曲げる」ことで、板の性能を何倍も引き出せる様になり、徐々に硬いバーンを滑れる様になっていくことを体感してもらいました。

 

 

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 陸上では柿谷トレーナーにパワーポジションをしっかりと学ぶセッションを実施していただきました。陸上でできない動きは雪上ではほぼ行うことはできません。スキー技術の向上の鍵は陸上にあるということを伝えました。

 初めは全員がスキーの時と同様、地面に力を伝えることが不可能なポジションを取ってしまっていたため陸の上でもふらついていましたが、3日間を通して自重によるパワーポジションの確認、レース前のパワーポジションの確認とGSとSLでの準備の違いなどもセッションの中から伝えることができたと思います。

 

 

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 夜は「目標設定」をテーマにしたセッションを清澤コーチに行っていただきました。「なぜスキーをするのか」「なぜ勝ちたいのか」などより自身を知り、どこになぜ向かいたいのかを掘り起こし、何のために何を行うのか考えられるアスリートになるためのマインドセット、マインドフルネスセッションを実施しました。

 

 

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 このチームを招集しクオリティの高いハードなコースを準備したのは雪上で自身の技術(能力)を知り、フィジカルトレーニングでなぜ雪上でうまくいかないのか、ミスをするのかを「知り」「修正」すること、そして目標設定を通して理解を深めたことを頭で考え、目標やテーマを絞り、一つ一つを完成させていくための思考を作ることで、雪上に戻るというフローを実践するためでした。

 併せて3月に行われるジャパンカップの予選も兼ねたタイムレースも実施しました。何か修正したい時にタイムを取ることは目的が修正ではなく速く滑ることに思考がセットされるため、テーマが疎かになりがちです。そのため、テーマを実行するためのセッションとジャパンカップ予選のためのセッションとの2つのセッションに分けることで、1日の中のトレーニングのゴール、目的、目標のクオリティ向上に繋がり、さらに練習ではなかなか作り出すことの難しい勝負強さも養うことに繋げようと取り組みました。レースに近いモチベーションとマインドセットで1本1本のスタートを切り、滑り切るということは私自身も難しいと感じていることです。

 

 

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 最終日には氷で固まったバーンの上に15センチ程の新雪が乗ったことで、雪の素晴らしさや、氷の上に積もる深雪の感覚も知るためのフリースキーセッションも行いました。

 速くなるために必要なことは無限にありますが、常に変化し続ける自然が作り出すコンディションを知り、用具を使って多様なスキー操作を自由自在にコントロールすることが重要です。整備されたコースで同じようなターンの弧を反復することも必要ですが、あらゆる条件を楽しむということがもっとも大切となる世代です。

 カービングだけではなく、多様なスキー操作を習得することで「曲がる」スキーに乗るのではなく、自らスキーを「曲げる」アクションと操る能力を身につけることが世界につながっていくということをもっと感じてもらえるよう、今後もテーマを持ったキャンプを行っていきたいと思います。

 

 

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 また、この合宿は一般社団法人ジャスト・ラビング・スキーによるクラウドファンディングの支援、及び株式会社ジュピターテレコム様による支援をいただき実施することができました。新型コロナウイルスの影響で世界大会への参戦はかないませんでしたが、選手の活動をご支援いただき感謝いたします。

 

 

報告/アルペン国内ヘッドコーチ 佐々木 明