競技
2021/03/30【REPORT 第2次スノーボード(スノーボードクロス)遠征】
ジュニア世界選手権
この世界情勢の中でのジュニア世界選手権の開催は、気を配ることや準備すべき段取りがいつもより多い大会となりました。そんな中でも大会コース、会場スタッフ、宿泊施設、食事環境、オンラインでのTCミーティングなど、全ての人が最大限のトライをしていただき全てにおいて素晴らしいクオリティで開催されたことにとても感謝いたします。
SBXチームからは、今年が最後の参加資格となる川村隼佑選手(中京大学)、去年の第3回ユースオリンピックに続いてのジュニアレース出場となる佐藤聖悟選手(オールアルビレックス)の2人の参加となりました。
スタートゲート
コースは芸術作品とも言えるくらいの素晴らしく美しい仕上がり、バンクの裏側までもが美しく滑らかに仕上げられていました。コース中盤に斜度があり、前半と後半は緩斜面というコースレイアウト。スタートセクションでは、細かい動きでパンピングタイミングの取り方が大きな差となる複数の縦セクションから始まり、6つの大きくて美しく立っているバンクではいくつものラインを試すことができ、そこでのスピードのつなぎ方が後半の緩斜面の浅いロールセクションでの差につながり、最終キッカーで順位が入れ替わる、丁寧さと冷静さが求められるコースでした。
スタートセクション
勝負ポイントは、バンクセクションでどれだけスピードをピックアップし、後半の緩斜面セクションにつなげていくかというところになりました。川村、佐藤、両選手共に公式トレーニングからいくつかのラインを試し最速ライン、混戦時のラインを見つけました。雪面状況もトレーニング日と試合日では大きく変化し、いくつかのセクションの対処方法が変わりましたが、選手の技術の引き出しで上手く対応することができていました。
インスペクション
大会当日は、トレーニング1本、予選1本のみという状況でしたが、川村、佐藤、両選手ともに予選通過。決勝ラウンド1回戦で、佐藤選手のヒートは他3人共がワールドカップ出場選手というヒート。佐藤選手は3位で中盤セクションへ入りましたが、バンクの使い方でどんどん前との差を詰めていき、最終キッカーでは横並びになりました。しかし、ゴールで抜くまでにはあと1歩至らず23位で今回の大会を終えることになりました。
ただ、内容を見ると佐藤選手の持っている技術を冷静に出すことができ、昨年度のユースオリンピックの時よりも技術、メンタルなどが大きく成長し、本人も手ごたえを感じることができ、次につながるとても大きな物を得ることができました。
川村選手のスタート前
川村選手は、1回戦から全て中盤のバンクセクションでのライン取り、板への圧のかけ方、タイミングなどの取り方を絶妙にしてスピードを上手くピックアップし、どんどん勝ち上がり、残り8人のセミファイナルまで勝ち上がりました。
セミファイナルでも同じく中盤でのスピードをつなぎましたが、前の選手を抜きにかかった時に他選手とラインが重なり、接触し転倒してしまいました。幸い川村選手に怪我はありませんでしたがビッグファイナル進出は叶いませんでした。スモールファイナルでは良い滑りができたのですが、抜くところまではいかず、7位となりました。
今回の大会コースはけが人もほとんど出ず、いくつものバンクラインがあり、途中の緩斜面で冷静さも求められる、ジュニアの大会として素晴らしいものでした。全ての選手にとって学びの多いコースでした。
川村選手のスタートセクション
表彰式では6位までが表彰されました。川村選手は7位で表彰式を観る側になりましたが、一番前の近い場所でしっかりと目に焼き付けました。この悔しさは、この先忘れることはないと思います。この悔しさが必ず彼を成長させてくれるものになります。表彰式を観ている選手のその後ろ姿を見て気持ちを察すると私も涙が出そうになりましたが、ここから彼が大きく飛躍していく作用点となるに違いないと確信しております。
両選手共に、この先のステージへ進むための大きな大きな学びを得ることができました。ここでの体験は彼等にとって一生忘れない体験となったに違いありません。そして、彼等が自分で思っているよりも、自分の目標に近づいてきているという実感も得られたと思います。
表彰式を観る川村選手
2日目のチームクロスでは日本チームはメンバーが足りず参加はできませんでしたが、前走をさせていただくことができました。こういった素晴らしいコースを1本でも多く滑らせてもらえるチャンスを頂き、本当にありがたいことでした。
最後に一礼する佐藤選手
両選手の成長、レース内容、今回もとても多くの気付きがありました。彼等の成長を近くで見させてもらえることができて幸せです。この大会に連れてきてくれた川村選手、佐藤選手に感謝いたします。そして派遣してくれたヘッドコーチ、関係者の皆様に感謝します。この時期に素晴らしすぎるコースや環境を用意してくださった大会主催者の方々に感謝いたします。とても多くの方々によってこの場が成り立っているという貴重さ、有難さを感じられました。本当にありがとうございました。今後も、選手スタッフ共に、さらに成長し続けて参ります。
報告/Div3.スノーボードクロスジュニアコーチ 西山 宏美