競技
2015/04/02【REPORT アルペン】JOCジュニアオリンピックカップ
北海道勢が大活躍
2015年JOC ジュニアオリンピックカップアルペン競技(技術系)が、岐阜県ほおの木平スキー場にて下記の日程で開催された。
期日 | 内容 |
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3 月 26 日(木) | K1 スーパーG 出場選手対象SG練習会 コースオープン(K2・練習会不参加の K1) |
3 月 27 日(金) | K1 スーパーG 男女 開会式・K2 ビブドロー |
3 月 28 日(土) | K2 GS 男女 |
3 月 29 日(日) | K1 SL 男女 |
3 月 30 日(月) | K2 SL 男女 閉会式 |
【K1 男女スーパーG競技】
大会初日はK1カテゴリーのスーパーGが晴天の中開催。スーパーGは全日本スキー連盟が選手強化の一貫として初めたもので、将来世界で活躍する選手の育成を狙っての試みである。やはりスピードから学ぶ基礎技術は計り知れないものがあるとして、各都道府県連に推奨しているが、今後全国各地でこのような取り組みが広がる事で、選手レベルの底上げを期待したい。
実際には男女共にスーパーGのトレーニングを強化した北海道選手が上位に大勢入り、この事はK2男女のGS競技でも良い結果が出るという、選手底上げのサンプルを証明してくれた。
特に注目の選手は、女子の「水谷美穂選手」(長野県・開田小学校)は同コースで男子にも勝り、パワフルな滑りを見せつけた。聞く所によるとスーパーGのトレーニングは欠かせないという。このクラスK1は女子の方が身体的にも成熟しているという事もあり、全体的にもK1女子の運動能力が長けていたという印象だった。
【K2男女GS競技】
K2 では高校生の早生まれが出場できるという事もあり、高校生が有利という見方もあるが、中学生も引けをとらない活躍ぶりだった。特に女子の「若月 新選手」(長野県・信濃中学校)は2月におこなわれた全国中学の不振を克服し、高校生勝りの滑りをした。確実に世界に向かう準備が整ってきたという印象だった。
そして北海道女子は10位以内になんと8名が入賞。北海道の層の厚さには関係者からも感嘆している様子が見られる程だった。
【K1男女SL競技】
見事女子で2冠を制した「水谷美穂選手 長野県・開田小学校」は力強い滑りで2位に4秒5の大差をつけての優勝。間違いなく今後の日本を背負っていく存在になるだろう。
一方、男子の方は「松本 充史 北海道・西小学校」が見事優勝。それに次ぐ選手や失敗してしまった選手も含め、今後一気に飛躍しそうな選手が10位以内に秘しめいているという印象だった。男子は技術的にも習熟していない事が多いが、今後の取り組みによっては一気に格差がでてくるので、今後の取り組みに注目したい。
【K2男女SL競技】
やはりここでも注目だったのは「若月 新選手」(長野県・信濃中学校)。GSに継ぎ2冠を制したが、北海道の「松本なのは選手」「片桐麻海選手」も非常に良い滑りで若月選手に迫った。3月上旬にイタリアで行われたトッポリーノの代表の「富井雪菜選手」「佐藤麻里奈選手」は優勝を意識しすぎたのか、どことなく緊張の硬さが滑りに現れ、自分のベストな滑りが実現しなかった模様。
トップに立つ者にはこのような試練が必ず訪れるものなので、今後はこのような経験を活かしてメンタル面も強化して、その先の目標に向かって邁進して欲しい。
男子で優勝した「小山 慧選手 長野県・菅平中学」は1本目4位、2本目2位とコンスタントな結果で優勝する事ができた。今回はセッター長から、全日本チャンピオンシップに相応しい、難易度の高いセットをするようにと指令があり、特にK2男子2本目では、難易度が高いセットが施された。このように設定が難しくてもコンスタントに良い結果を出せる選手が今後求められていくに違いない。
【総評】
まず、スーパーGの開催という事で安全面やコース雪質の整備も万全な状態でおこなわれ、運営スタッフには保護者の方を含めた関係者からも絶賛の声が挙がった。このような円滑な運営に心から感謝したい。
世界に通用する選手の発掘を考えると、北海道が率先しておこなっているスーパーGが全国レベルの底上げになり、その技術要素には育成に必要な要素の大半を補えると期待している。
また、チルドレン期に不足している基礎技術要素も明確になりつつあるので、今後は末端のクラブチームコーチとのネットワークを密に取り、目標値を共有しながら不足技術を補っていく作業が必須になっていく。世界で同年代と対等に戦うには、何が不足していて、それらを補うHow Toを共有しながら、一環指導のもと選手強化をしていかなければならない段階にきていると感じた。
全日本スキー連盟としては「選手の底上げ」「目標値の共有」「育成How Toの共有」を取り組んでいく準備ができつつあるので、いち早く育成・強化活動をスタートし、世界で戦える選手の育成に取り組む方向である。
報告/チルドレンコーチ 佐藤久哉