競技

2022/02/24

【REPORT 第5次 スノーボード(ハーフパイプ)遠征報告】最終目的地、夢の舞台へ

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 前回2018年平昌・韓国大会までのチーム経験を踏まえて準備して臨んだ今、北京大会。
個人種目ではありますがチーム力を持って臨むチーム創りを準備して参りました。
そこに大きく立ちはだかったのはこれまでの経験にはない新型コロナウイルスという未知の敵でした。

これまでの当たり前の環境が当たり前でなくなった現実に直面し、情報の錯綜とそれぞれの国々における対応に適時順応する日々、何回やったかもわからない程のPCR検査、隔離生活など、先の見えない不安の中でたどり着いた北京オリンピックとなりました。
 その様な状況の中でも大会環境を用意して頂いたFIS及び各国の大会運営、我々の活動を止めずに進めさせて頂いたスキー連盟、国内大会環境を築いている技術運営の皆様、スキー場の皆様、JOC様、JSC様、スポンサー様、活動を後押しして頂いたサポーター、ファンの皆様、業界関係者の皆様、先陣にてチームの基盤を創ってきた選手、スタッフとそのご家族など皆様方の強い想いがなければたどり着けないオリンピックであり結果であったと思います。
 チームの目標設定、選手の目標設定、その目的を明確にし、そこに向けてどうやっていくのかを選手、スタッフにおいて都度都度に考え準備をしてきた4年間となりました。

ビブ
ビブ

競技会場の施設もオリンピックに相応しい大変素晴らしい環境でありました。

選手村
選手村

今回、結果としてここまで目標としていた金メダルの獲得は成し遂げることができました。女子においても日本に初のメダルをもたらすことができました。しかしながら達成できなかった目標もあったことから、要因を検証しこの先に繋げて行かなければならないと思っております。

ハーフパイプのメダリスト
ハーフパイプのメダリスト
メダル写真
メダル写真

 過去の経験からもメダルを獲っただけで何かが変わるものではなく、このメダル獲得の結果の価値を高めること、活かすのは、ここに携わっている全ての人達のこれからの取組と行動次第だと思っています。
 自分達が大好きでやっているスノーボードで努力を重ねて迎えたオリンピックの舞台。今回のオリンピックでも選手達が挑戦する姿勢から何か発信できていたら嬉しく思います。これからもスノーボードのかっこよさの表現を忘れずにスノーボードからもスノースポーツの発展に繋げて行けたらと思います。

今回のオリンピックで我々日本ハーフパイプチームは世界一のチームとなることができたと思います。
改めてオリンピックはスノーボードという単体の垣根を超えた唯一無二の素晴らしいイベントである事を実感させて頂くことができました。

携わって頂きました全ての方々からのご支援、ご声援にHPチーム一同心より感謝申し上げます。

スノーボード(ハーフパイプ)チーム
スノーボード(ハーフパイプ)チーム
スノーボード(ハーフパイプ)チーム
スノーボード(ハーフパイプ)チーム

報告: スノーボード/ハーフパイプ ヘッドコーチ 治部 忠重

★男子選手報告:コーチ 村上大輔

北京に入ってからの取り組みは、まず選手との北京オリンピックで行う演技の構成、予選の進め方、決勝での演技構成を各選手と動作解析白川氏も交えてミーティングを進めました。
事前に選手に伝えていた部分ではありますが、再確認の為しっかり面と向かって話し合いました。

チームミーティング
チームミーティング

特に、戸塚選手、平野流佳選手の2名に関してはスイスにいて、オリンピック2週間前から会えなくなっていたのでスイスでの練習成果等をしっかり聞いた上でオリンピックでの演技構成についてミーティングを行いました。
特に、戸塚選手はスイスでのトレーニングが満足いくものではなく少し自信を落としていた部分もありましたが去年勝ち続けたルーティーンをオリンピックで出すことが出来れば表彰台は狙えるし、そこにラストヒット、トリプルコーク1440を組む事が出来れば金メダルが狙える、その為の3日間の公式練習の進め方を話しスッキリして練習に取り組ませることができたと思います。
平野流佳選手は、スイスでの事前トレーニングがかなり調子良かったのを聞き動画も確認していたので不安は少なかったです。その中でもCABトリプルコーク1440のメイク率、その前のFW1080の着地をしっかりしてCABトリプルコーク1440をやる為の十分なスピードをつけて臨めるように準備して行こうと伝えました。
平野歩夢選手、平野海祝選手の2名に関してはオリンピック前のアメリカ合宿が一緒で、事前にオリンピックへの臨み方、練習方法などをミーティングしていたので不安なく公式練習に臨む事が出来たと思います。 結果は、平野歩夢選手が金メダル、平野海祝選手が9位、戸塚優斗選手が10位、平野流佳選手が12位という結果になりました。
平野歩夢選手は、練習以上の滑りを出すことが出来、今まで大会では誰も出したことのないFSトリプルコーク1440、CABW1440、FSW1260、BSW1260、FSW1440というルーティーン構成を決勝3本うち2本決めるというものすごい内容で金メダルを獲得しました。

スノーボード(ハーフパイプ)チーム
スノーボード(ハーフパイプ)チーム
平野海祝選手も、1ヒット目のバックサイドエアーから入るルーティーンで7.4メートルという世界記録のエアーをオリンピックで出す事が出来ました。
元々、オリンピックでは誰よりも飛んで、STYLEを出すというのが彼の目標でもあったのでそれをしっかり実行出来たことは彼の成果として今後に活きて来ることと思います。
戸塚優斗選手、平野流佳選手は、オリンピックの決勝で満足行く滑りを出す事が出来ませんでした。演技を完結する事が出来たらメダルに届く力を持っていただけにそれを出させてあげる事が出来なかった事は本当に悔いが残ります。
何故それが出来なかったかを検証して必ず4年後のオリンピックでは2人をオリンピックの決勝で満足行く演技が出来るようサポートして行きたいと思います。

選手用具準備
選手用具準備

今後の課題としては4年後のオリンピックで男子選手表彰台独占という明確な目標が出来ましたのでそこに向けてのチーム作りです。
課題として、まずオフシーズンの各選手の身体の作り方。
もっとスタッフ間でのミーティングする時間も増やし、各選手それぞれ強化するところは違ってくるので足りないところを明確にして選手に伝えて行きたいと思います。
ただ選手にやれというのではなく何故それが必要なのか、それを強化したらこういう身体の動きが出来るというのを伝えて選手がトレーニングしたくなる環境を用意して行きます。
 オフシーズンには埼玉クエスト、東北クエスト、カムイ御坂などの国内の施設も使いながら選手達とももっと関わる時間を多くし、新しい技の取り組みなど、男子選手はエアマットでの練習が一番の近道なので環境を作っていきたく思います。
戦略の部分としてワールドカップ等の回し方も、特に男子選手の経験値の高い平野歩夢選手、戸塚優斗選手、平野流佳選手の3名に関しては全試合出すのではなく主要な大会を決めて回し、その場の大会でただ勝つためだけではなく4年後のオリンピックを見据えさせながら目標の演技構成を決めて大会に臨ませたいと思います。
 その為にも、海外での雪上トレーニング時間に比重を置いて行きたいとも思っています。
強い日本を継続していくためにはジュニア選手の強化、底上げもプランを立ててやって行かなくてはならないと思っています。

4年間の総評としては、選手、スタッフとも密にミーティングする事ができ、みんなが思っている事を話し合いみんなが同じ目標を持ってやれた事は、本当に最高のチームだと思います。

平野歩夢選手
今回は今までとは違った4年の中でこの舞台に戻って来ることができて、自分のやりたい表現を魅せれて良かったです。
この4年は自分の中で色々な経験と濃い時間を、良い意味でも悪い意味でも味わっていたので、そういった日々の経験は少なからず自信と成長に繋がっていたと思います。
今回この舞台に怪我なく挑戦出来たのも、周りのサポートや応援があってこその自分だと思うので、これからも自分だけの表現で魅せ続けていけたらと思います。
戸塚優斗選手
2回目の出場となったオリンピックという舞台で自分がやりたかったことが決められなくて悔しいし、もっと練習が必要だと思いました。今回は特に点数の付け方が厳しく感じたので、もっと細かいところまで修正が必要だと思いました。
沢山の方々やスポンサー、チームの皆さんのおかげでオリンピックに出る事ができました。ありがとうございました!
また努力して勝てる選手になれるように頑張りますので応援よろしくお願いします。
平野流佳選手
初めての出場となったオリンピックは普段の大会とは違う緊張感があり、演技を決めることは出来来ませんでしたがオリンピックの空気を楽しむことは出来ました。
今回のオリンピックではたくさんの人の応援とサポートを受けていることを再実感することがでました。
多くのサポートありがとうございました。
結果は出せませんでしたが、この悔しさをバネにもっと練習して次は絶対に勝てるように頑張ります!
平野海祝選手
今回初めての参加となりたくさんの選手のオリンピックへの思いを滑りなどで感じられたことです。そして、今回兄弟でオリンピック出ることができたというなかなかできない経験を得られました。
応援してくれたみなさん本当にありがとうございました。みなさんがいなければここにまで立てなかったです。これからも頑張るので引き続き応援よろしくお願いします。

★女子選手報告:コーチ 青野 令

2022年2月3日から北京に入り北京滞在は10日間。今回オリンピックに派遣された女子選手は小野光希選手(バートン)、冨田せな選手(チームアルビレックス新潟)、今井胡桃選手(プリオホールディングス)、冨田るき選手(チームJWSC)の4名でした。
北京に入ってから、公式トレーニングが2月6日から2月8日の3日間で、1日3時間。女子選手は2月9日が予選で2月10日が決勝という5日間通しの雪上になる事を踏まえて、公式トレーニング前に各選手とミーティングを行いました。

ミーティング内容として、決勝に向けて心も体もベストの状態にもっていく為に公式トレーニング3日間の3時間をどのように使うか、予選と決勝のルーティンはどうするかを事前に話しました。事前に話した経緯は、4年間色々な方法を試した経験上、女子選手の調子を崩す原因は、公式トレーニングで自分自身の滑りに自信を持てず、不安になり、焦りはじめ、自分が何をしたらいいのか分からなくなる事が原因だったので、始まる前に打ち合わせをし、予選から決勝3本目まで無理の無いプランを立てておく事が必要でした。

その結果、女子選手4人とも今までにないぐらい公式トレーニングを調子良く滑走する事ができました。公式トレーニングが3日間終わり、この時点で不安要素は今井胡桃選手のF1080が成功出来なかった事、小野光希選手のスイスで転倒した際に強打した背中の痛みが振り返した事でした。その選手2人に対しては、滑りの部分では、動作解析スタッフの白川さんと話し合い修正ポイント絞り修正する事としました。体の面では、トレーナーの方と話して少しでも痛みを軽減させていかに滑りに集中するようにするかを話し合いました。

決勝に進出したのは小野光希選手、冨田せな選手、冨田るき選手の3名でした。今井胡桃選手は少しのミスが減点対象となり決勝に進出する事ができませんでした。結果は、冨田せな選手がオリンピックという大舞台でスノーボードハーフパイプ女子初の銅メダルを獲得し、冨田るき選手が5位、小野光希選手が9位という結果でした。
冨田せな選手は前回のオリンピックも含めて積み上げてきた事がしっかり発揮出来たと思います。冨田るき選手は、目標のルーティンには辿り着けなかったですが、初のオリンピックの舞台で2本失敗した後に追い込まれた状況でしっかり決めた3本目の滑りは初出場とは思えない堂々とした滑りでした。小野光希選手は、CAB1080を必死で練習してきましたが今回決めきれなかった事が悔やまれますが、17歳という若さでXGAMEをキャンセルしてまでオリンピックという初の舞台でCAB1080を決めるという目標の決断をした事に対して意思の強さに、今後とても期待できる選手だと思います。

今後の目標として、女子選手もかなりレベルが上がってきたと同時に、怪我のリスクも上がってきたので今までのトレーニングでは全然足りて無い事は本人達が一番理解していると思うので、資格のあるトレーナーとコミュニケーションを取りながらスノーボードで生きる、身体を守フィジカルトレーニングを行っていきたいと思っています。ベースを変える事でパフォーマンスは必ずあがるのでベースを変えていく事が次のオリンピックで金を取る一歩だと思っています。

今シーズンは女子選手が6人も居て、世界と比べても日本のハーフパイプの層は厚いと思っています。4年後に向けては、楽しい、大好きなスノーボードを続ける為に努力し、向き合う事で目標は確実に達成出来ると思います。そして今回このような結果を残せたハーフパイプチームの強みは選手だけではなく、スタッフの連携の強さが一番だと思います。各スタッフが自分たちの持ち場でやるべき事に集中し、状況、情報の共有などがあるからこそ選手が安心して競技にプレー出来ていると実感しました。正直今のパイプチームのスタッフは他の何処の国にもない信頼関係があると思います。今後も良いとこは伸ばし、苦手な部分かカバーし合いながら成長していきたいと思います。

男子メダルセレモニー
男子メダルセレモニー
女子メダルセレモニー
女子メダルセレモニー

小野光希選手
全てが初めての経験で楽しかったです。以前より多くの人にスノーボードハーフパイプを観て頂けた事が嬉しかったです。オリンピックで得たものは、応援して下さる方々の有り難さです。凄く励みになったし、多くの力をもらいました。沢山の応援やサポートに感謝しています。ありがとうございました。
冨田せな選手
北京オリンピックからの4年間、怪我も続き苦しい日もありましたがたくさんの方に支えてもらえてここまで来る事ができ、練習してきたこともやり切ることができました。恐怖心との戦いもあったけど楽しめたと思います。今回のオリンピックで得たことは、仲間の大切さ、そして関わって下さっている方への感謝の気持ちです。私一人で戦う事が出来なかったオリンピックだと思います。沢山の声援が力となり3位という結果を残す事ができました。メッセージなど返しきれてないですが全て読ませて頂いています。本当にたくさんの応援ありがとうございました。
今井胡桃選手
オリンピックに2回連続で出場させて頂けて凄く貴重な経験をさせて頂けました。改めてオリンピックの影響力の大きさを感じたし、色んな方にスノーボードの楽しさ、カッコよさを知って頂けたと思います。 ここに来るまでに怪我や思うようにいかないこととか、挫折しそうな時が何度もあったけど、それを乗り越えられたのも応援して下さる方々がいたからです。そして、オリンピックに出場し、私自身素晴らしい景色が見る事ができました。みなさんにも滑っている姿をお見せすることが出来たので幸せでした。沢山の応援、サポートありがとうございました。
冨田るき選手
初めてオリンピックに出場して目標にしていた自分らしい滑りが出来たので良かったです。まだ完成度が低い技もあるので沢山練習して更に上を目指せるように頑張りたいと思います。私は決勝1,2本目転倒してしまいましたが、気持ちを切り替えて3本目に挑む事が出来ました。4年に一度の舞台で今までの自分より成長出来たと思います。本当に沢山の方に応援して頂いている事を実感してメッセージや応援動画が力になりました。ありがとうございます。

オリンピックスタッフ
オリンピックスタッフ

コンテンツ内の一部に撮影時のみマスクを一時的に外している場面がございますが、当事業はSAJ感染対策ガイドラインのもと、PCR検査を行って実施しております。